TOPページ > 遺物ギャラリー > はにわギャラリー > 盾形埴輪
高廻り1・2号墳
武具である盾をかたどった埴輪である。
1号墳から1個体、2号墳からは3個体が出土した。
表面の模様の違いから、右は木製の盾を、左は革製の盾を模したものとみられる。
本来、盾は弓矢や刀などの攻撃から身を守るものであることから、
盾形埴輪には古墳に葬られた人を寄り来る邪霊から護る意味が込められていたという説がある。
(左:2号墳、右:1号墳)
- 盾形埴輪 1/8枚目 -
高廻り1号墳 / 古墳時代中期前葉 5世紀前葉./.現存の高さ約120cm
木製の盾を模した盾形埴輪と考えられる。 内側に刻まれた水平方向の線は木目を表現しているのであろう。 外側には、鋸歯文(きょしもん)が二重に刻まれている。 なお、この盾には、下に続く高さ約30cmの円筒部の破片がある。
- 盾形埴輪 2/8枚目 -
高廻り1号墳
盾の表面の鋸歯文(きょしもん)を拡大した。連続する三角形の中に短い線を充てんしている。線刻の幅が広く、深さが浅いことから、先端の比較的丸いヘラのような工具で刻みこまれたと考えられる。
- 盾形埴輪 3/8枚目 -
高廻り1号墳
盾形埴輪の上部を裏側から見たところ。 盾の上端は円筒部から上方に約15cm突出している。 この部分を支えるために突帯が長方形に巡らされている。 また、盾の側縁と円筒部のすき間にも、補強のために三角形の粘土板を詰める工夫をこらしている。
- 盾形埴輪 4/8枚目 -
長原40号墳 / 古墳時代中期前葉 4世紀末葉./.高さ128cm
木製の盾を模したとみられる埴輪である。 外縁には鋸歯文(きょしもん)が刻まれ、その四隅に斜線が入り、 内側には木目とみられる横方向の平行線が引かれている。 円筒部表面の仕上げ方から高廻り2号墳に近い時期のものと考えられる。 この埴輪は人を葬る棺として用いられ、横向きに埋められた状態で出土した。
- 盾形埴輪 5/8枚目 -
高廻り2号墳./.古墳時代中期前葉 4世紀末葉./.状の高さ約50cm
盾形埴輪の上部に小型の冑(かぶと)形埴輪を載せた珍しい例である。 盾の表面は格子状や鋸歯状の文様で飾られている。 顔の表現はないが、冑をかぶり、盾を持った武人の姿を彷彿させる。 古墳時代後期(6世紀)に関東地方を中心として流行する人物埴輪に、 「盾持ち人」と呼ばれる人の顔とその下に盾だけを表現した埴輪があるが、 本例のような埴輪がその原形ではないかと考えられる。
- 盾形埴輪 6/8枚目 -
高廻り2号墳
盾形埴輪を後ろから見たところ。 盾形埴輪の円筒部は、高廻り1号墳例のように上から下までほぼ同じ直径である場合が多いが 、この例ではすそが広がり上がすぼまっている。 これは冑形埴輪をのせるための工夫である。埴輪の下半部は欠けており、復元していない。
- 盾形埴輪 7/8枚目 -
高廻り2号墳
盾の上に載せる冑(かぶと)形埴輪である。 写真の右側が冑の正面にあたり前面が船のへさき状にとがった衝角付冑(しょうかくつきかぶと)を模している。 冑の表面には文様が刻まれていないことから、革製の冑であろう。 短い脚台が取付き、この部分が盾形埴輪の円筒部に差し込まれる。
- 盾形埴輪 8/8枚目 -