学芸員紹介:趙哲済 - 大阪市文化財協会

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学芸員の紹介

趙 哲済 CHO Chul-jae

 

考古地層学

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得意分野 考古地層学(遺跡の層序学+堆積学+土壌学、遺構面の層序学的・機能的分類)、地層の変形・変位、古地理復元
コメント  “考古地層学”は聞き慣れない呼び名だと思う。「遺跡を叙述するのは社会科学の法則を勉強した考古家(社会科学者)であって、自然の法則しか解らない地質家(自然科学者)ではない」という大先生の教えを守って、自分の専門分野を・・・archaeologyではなく、こう呼んでいる。
 自然の法則性を理解したうえで遺跡をきちんと叙述できる考古家を育ててほしいと、日本考古学の大学関係者に期待している。
おもな仕事

■考古遺跡の地層学的研究

 「発掘成果を総合化する柱は地層である」という観点と姿勢で、平野区長原遺跡の標準層序の確立を手始めに、市内外の遺跡で地層区分の検討と基本層序の組立て、自然堆積層の堆積相解析を行う。この過程で、人為層や土壌層位を層序学的に適用し、遺構面の層序学的形式分類・機能分類を提案。また、割れ目や地すべり、地震痕跡などの地層堆積後の変位・変形にも注目している。

■大阪平野の第四紀学的・古地理学的研究

 石器製作址群が古川辺川の両岸に分布するという古地理学的予測が発掘によって証明され、平野区長原遺跡が近畿の旧石器時代の主要遺跡に数えられるに至った仕掛け人のひとり。第四紀学の観点から、最終間氷期以降の大阪平野の広域変遷図や、弥生時代以降の大坂城下町跡の詳細変遷図を描いた後、上町台地と周辺低地の古地理変遷を手掛けている。

■足跡化石の研究

 1990年の長野県野尻湖発掘でナウマンゾウの足跡化石を証明した調査班員のひとり。国内外の遺跡の足跡調査に協力。遺構面と生活面にこだわりながら、同僚の清水和明さんとともに1991年の住吉区山之内遺跡で、地表下7mに11万年前のゾウやシカの足跡化石を予測発掘した調査は、大阪府下最古の発掘記録という副産物も。

■遺跡調査における地層の見方の普及

 国内や韓国の諸遺跡で地層の見方を指導・普及する。

・奈良文化財研究所の文化財担当者研修『環境考古学課程』・『災害痕跡調査課程』などで「地層の見方」・「第四紀学と考古学」の講師(1995〜)

・文化庁文化財部記念物課(2010)『発掘調査のてびき』にも協力。

■京都橘大学非常勤講師

 地球生命論(2012年〜)

おもな研究業績

■八ヶ岳団体研究グループ(執筆責任:1988)「八ヶ岳山麓の中部更新統」・「八ヶ岳の火山活動と湖盆の変遷」『八ヶ岳山麓の第四系』,地団研専報,34,53-89・129-152.

■野尻湖発掘調査団足跡古環境班(共著:1992)「上部更新統の野尻湖層で発見されたナウマンゾウの足跡化石」,地球科学,46巻,385ー404

■阪神わかやま野尻湖地質サブグループ(共著:2003)「堆積相と粒度分析からみた下部野尻湖層V上部〜中部野尻湖層Uの堆積環境」,野尻湖ナウマンゾウ博物館研究報告,11,23-36.

■趙哲済(2006)『旧石器の層位攪乱をもたらす最終氷期の乾裂・凍結割れ目の形成に関する比較研究』,平成15〜17年度学振科研費補助金基盤研究(B)成果報告書,65ps.

■趙哲済・市川創ほか5名(2014)「上町台地とその周辺低地における地形と古地理変遷の概要」『上町台地の総合的研究-東アジアにおける都市の誕生・成長・再生の一類型-』,平成21〜25年度学振科研費補助金基盤研究(A)成果報告書,巻頭図版1-7,9-22.

■趙哲済(2014)「難波砂州北部〜天満砂州南部の表層地質に関する覚書」『上町台地の総合的研究-東アジアにおける都市の誕生・成長・再生の一類型-』,平成21〜25年度学振科研費補助金基盤研究(A)成果報告書,23-36.

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