文化財の出版物刊行

『阿倍野筋遺跡発掘調査報告』　
−南斎場再建整備に伴う発掘調査報告書−

(A4/42/17)

1000

310

　阿倍野区に所在する阿倍野筋遺跡の発掘調査報告である。古墳時代前期の竪穴住居や掘立柱建物に加え、多数の管状土錘をはじめとする漁具が出土した。

『阿倍野筋北遺跡発掘調査報告』

(A4/74/10)

1000

310

　阿倍野再開発事業に伴う発掘調査の報告である。注目される遺物は、流路から出土した150点以上の卒塔婆である。墨書やその痕跡が残るものが多く、年号から中世後期のものであることがわかった。記された偈文・真言などは多様であり、中世の供養のあり方を考えるうえでの貴重な資料である。

『網島町遺跡発掘調査報告』

(A4/12/3)

600

215

　2010年度に都島区網島町3丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、江戸時代以前の旧淀川(現大川)左岸における堤防など河川改修に係わる遺構が見つかった。19世紀前葉から中葉の盛土で埋められた石積み遺構や、18世紀に遡る可能性のある盛土層を検出した。一帯は淀川の氾濫によって度々罹災した地域であり、江戸時代〜近代における旧淀川整備の過程を明らかにする手がかりになるであろう。また、近代では、レンガ積みの遺構が見つかった。明治時代後半に豪商の貴志彌右衛門邸となり、建物や庭園が整備されたことがわかった。

　本遺跡の情報は本書が嚆矢となる。当地では古代から本格的な開発が始まり、飛鳥時代から奈良時代にかけての瓦や金属加工遺物が少なからず出土し、周辺に古代寺院の存在が想定された。

　2012年に東淀川区井高野1丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、出土遺物は少なかったものの、淀川の度重なる洪水の影響により湿地状の土地であった場所から、江戸時代の終わりに耕作地として利用されるようすが明らかになった。

『今林遺跡発掘調査報告』　−大阪市東部市場における建設工事にかかる発掘調査報告書−

(A4/14/2)

500

215

　2008〜2009年に東住吉区今林1丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、古墳時代前期に遡る古式土師器と当該期の古土壌を確認した。南東に位置する平野馬場遺跡と同様に、平野川流域の自然堤防上に立地する新たな集落の可能性を示すものとして重要である。中世から江戸時代にいたって、ようやく人間活動が活発となり、一帯は作土層が拡がる耕作地に活用された。

『上本町遺跡発掘調査報告』I　
−天王寺区小宮町における建設工事に伴う上本町遺跡発掘調査報告書−

(A4/85/34)

1700

360

　四天王寺の北東で行われた上本町遺跡の発掘調査の報告である。調査では、奈良時代の谷を検出し、役所または貴族の邸宅を彷彿とさせる墨書土器や人面墨画土器を含む多量の土器が出土した。谷には難波京の条坊復元線に一致する位置で橋が架けられており、難波に条坊が存在したことを直接的に示す初の発見となった。

『上本町遺跡発掘調査報告』II

(A4/30/9)

900

310

　四天王寺の東で行われた上本町遺跡の発掘調査の報告である。調査では、四天王寺東門下から続く谷を検出した。これまでの調査成果をあわせて、谷の開発と条坊の施工時期の関係を考察した。

『上本町遺跡発掘調査報告』III

(A4/26/7)

900

310

　2010年に中央区上汐1丁目で行われた上本町遺跡の発掘調査の報告である。調査では、奈良時代の整地と、条坊に沿った正方位の掘立柱建物や溝、江戸時代の遺物を多量に含む土壙を検出した。

『上本町遺跡発掘調査報告』IV

(A4/52/13)

1000

310

　2008・2010年度に行った上本町遺跡の発掘調査の報告である。調査は、条坊道路推定ラインに一致する位置で奈良時代の橋梁遺構が発見された調査地(『上本町遺跡発掘調査報告』I)の北側で行われた。飛鳥時代後半と中世の井戸が発見され、江戸時代には多数の土採り穴が検出された。

『上本町遺跡発掘調査報告』V

(A4/13/5)

1000

215

　2011年度に行った上本町遺跡の発掘調査の報告である。奈良時代の掘立柱建物の一部が検出された。建物の全体を復元することはできなかったが、柱穴は一辺が1mを超える大型のもので、難波京内の邸宅の可能性がある。そのほか、17世紀の土壙なども検出され、南平野町の町屋に関係の深いものと考えられる。

『上本町遺跡発掘調査報告』VI　−学校法人上宮学園校地における発掘調査報告書−

(A4/54/11)

1200

310

　本書は、上本町遺跡において行われた発掘調査の成果を報告するものである。
　中世の溝、近世後半の土採り穴群と畠、近世の長屋建物跡を検出した。中世の溝は難波京の条坊制に合致し、それを踏襲するものとみられる。
　土採り穴は壁土の採取を目的としたもので、当地では計画的な採掘が行なわれていた。土採り穴を埋めた跡は畠、長屋と変遷し、長屋は大阪空襲によって焼失していた。

『上町台地の遺跡』
　　　　　−大阪市天王寺区清水谷町の調査−

(B5/11)

300

180

　天王寺区清水谷町で行った発掘調査の成果を分かりやすく解説したパンフレットである。この付近での古代集落の報告は初めてである。

『瓜破遺跡』
−大阪市土木局施行の大阪市平野区瓜破6丁目側道舗装新設工事に伴う発掘調査報告書−

(B5/81/32)

2000

360

　日本考古学協会による発掘調査(『日本農耕文化の生成』)以来の本格的な発掘調査の報告書である。 弥生時代前・中期の土器の他、大型石庖丁、貨泉等の資料を掲載すると共に、中・近世の遺構・遺物についても報告する。

　2000年度に行われた瓜破遺跡の発掘調査の報告である。 赤･黒漆を塗布した矢柄に装着された鉄鏃や銅鏃、棟部に刻印のある刀子、 木製の橇や弓、縄や編み物、イヌ骨、韓式系土器の移動式竈など、 古墳時代中･後期を中心とする貴重な遺物が良好な状態で出土した。 また、弥生時代後期の畠状遺構について、種実･昆虫･珪藻･植物珪酸体･土壌分析など、 様々な分野からその性格を検討している。

『瓜破遺跡発掘調査報告』III　
　　−大和川改修事業に伴う発掘調査報告書−

(A4/70/23)

1200

360

　 大和川南側河川敷において2000･2001年度に行った発掘調査の報告である。 弥生時代の大溝から出土した遺物(畿内第I〜II様式の弥生土器･石器･木器など)を中心に掲載する。 また、旧石器時代から弥生時代にわたる環境復元の材料となる、花粉化石･種実･昆虫等の同定分析結果や考察も収録する。

『瓜破遺跡発掘調査報告』IV　−市営瓜破東第2住宅建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/34/16)

700

310

　大阪市顕彰史跡の花塚山古墳に隣接する地点の発掘調査の報告である。 古墳時代後期を中心に、平安時代までの遺物を報告する。 須恵器の杯身を模倣した関東系の土師器や、それと同じ器形の須恵質の土器、古代寺院の存在を窺わせる瓦類が注目される。

『瓜破遺跡発掘調査報告』V　
　　−大和川改修事業に伴う発掘調査報告書−

(A4/76/10)

1800

310

　瓜破遺跡で初めて発見された弥生時代後期の水田遺構について報告する。 また、当時の地形復原によって、水田の立地環境について言及するとともに、 周辺の弥生時代集落の推移について検討を行う。

『瓜破遺跡発掘調査報告』VI　
−大阪市都市整備局による瓜破東住宅建設工事にかかる発掘調査報告書−

(A4/74/19)

1000

310

　平野区瓜破東2丁目で行われた発掘調査の報告である。縄文〜鎌倉時代の遺構・遺物を掲載するが、瓜破台地を開析する「馬池谷」での調査であったことから、地層の保存状態が良好で、弥生時代以降、中世までの詳細な古環境変遷についての成果が注目される。谷底で、縄文時代後期〜晩期の土器と弥生時代後期の土器がまとまって出土した。また、奈良時代の地層から鉄鎌が良好な保存状態で見つかった。加えて、平安〜鎌倉時代にかけての水田遺構も検出した。

『瓜破遺跡発掘調査報告』VII　
−大阪府営瓜破東1丁目第1期住宅(建て替え)建設工事に伴う瓜破遺跡発掘調査報告書−

(A4/102/25)

1000

360

　平野区瓜破東1丁目で行われた発掘調査の報告である。縄文時代から中世までの遺構・遺物を掲載する。調査地が瓜破台地を開析する西谷内での調査であったことから、地層の保存状態が極めて良好で、縄文時代以降、中世までの詳細な古環境変遷についての成果が注目される。谷底で、縄文時代早期末〜前期初頭の土器が横大路火山灰層の上位層から出土した。土器の年代観と火山灰層との関係について再確認できる資料となった。弥生時代前期末から中期初頭にかけては、竪穴建物を谷に近接する斜面で検出した。奈良時代後期から平安時代前期には、古代の瓦が多数発見された。付近に推定されている瓜破廃寺・成本廃寺との関係がうかがえる。

『瓜破遺跡発掘調査報告』VIII

(A4/96/35)

1500

360

　2009年度に平野区瓜破東2丁目で行った発掘調査の報告である。調査地のほぼ全域が瓜破台地を開析する谷であることが判明した。谷内からは、旧石器時代の石器が集中して出土した。谷の東部では弥生時代後期〜古墳時代後期の遺構・遺物を検出し、西に下がる緩やかな斜面に同時期の集落が存在した可能性が高いと考えられた。奈良〜平安時代には成本廃寺に関連すると思われる遺構を東端で確認し、これより東部の台地上に同廃寺が存在していたと推測される。

　1980〜1993年にかけて行われた瓜破遺跡･瓜破北遺跡の24件の発掘調査の報告である。 前漢鏡が出土した弥生時代後期〜古墳時代前期の集落や、 飛鳥時代の庇付建物や倉庫群などの掘立柱建物24棟を報告する。 後者の建物群は東隣の長原遺跡で見つかっている水田開発に係わる施設と考えられ、 その歴史的評価についての考察を収録する。

『瓜破・住道矢田・矢田遺跡発掘調査報告』

(A4/585/159)

3900

着払

　2009年度から2012年度にかけて、JR阪和貨物線跡地に計画された大和川改修事業に伴って行った発掘調査の報告である。大和川右岸沿いの矢田−瓜破間に所在する3遺跡から出土した、後期旧石器時代から江戸時代までの遺構・遺物を掲載する。中でも瓜破遺跡で検出した弥生時代前期末の集落跡や環濠と考えられる大溝、大土坑、これらから出土した大量の弥生時代前期末の土器・石器が注目される。瓜破遺跡西側から住道矢田遺跡では多数の河川跡を確認し、縄文時代以降の平野の発達する様子がうかがわれた。矢田遺跡では弥生時代中期後半および古墳時代後期の竪穴建物などが見つかった。

　昭和53年に阪神高速道路に沿って設置される共同溝の建設工事に伴って行われた発掘調査の報告である。断片的ながら弥生時代前期から古墳時代の遺構・遺物を検出した。弥生時代前期末の人の足跡、後期の竪穴住居・高床倉庫・井戸・溝、古墳時代の方形周溝墓・木棺墓・土壙墓群などがある。遺物は、鏡片・勾玉・弥生土器・土師器・石器・座金具など多岐にわたるものが出土した。

『瓜破北遺跡』II　−大阪市下水管梁築造工事(瓜破地区その8,その9)に伴う発掘調査報告書−

(B5/33/22)

1000

310

　瓜破北遺跡の本格的発掘調査報告である。 『瓜破北遺跡』(品切れ)に続く第2冊目。中国鏡片3片が出土した。

『瓜破北遺跡発掘調査報告』III　−大阪府営瓜破西住宅建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/118/23)

1300

360

　瓜破台地北端に位置する瓜破北遺跡の西端で実施した発掘調査の報告である。 瓜破北遺跡で初となる縄文時代早期〜前期の土器・石器が出土した。中でも市内3例目となる黒曜石など特筆すべき資料を収録する。 その他、弥生時代後期の建物や井戸、庄内期の方形周溝墓について報告する。

『瓜破北遺跡発掘調査報告』IV

(A4/234/57)

2500

着払

　瓜破北遺跡の集大成ともいうべき多様な成果を掲載する。 特に、後期旧石器時代後半期では、 砕片を含め出土総数数万点にのぼる瀬戸内技法盛行期のナイフ形石器製作址について報告する。縄文時代では、黒曜石を伴う石器集中部や、 関西地方では珍しい早期末〜前期の集石遺構について報告・考察する。 また、弥生時代後期末の集落については、手焙形土器や他地域産の土器が出土し、土器の編年についても収録する。

『瓜破北遺跡発掘調査報告』V　
―大阪府営瓜破2丁目第1期住宅(建て替え)建設工事に伴う瓜破北遺跡発掘調査報告書

(A4/138/25)

1600

360

　2007年度に平野区瓜破2丁目で行われた発掘調査の報告である。後期旧石器時代から江戸時代にかけての遺構・遺物を検出した。特に、後期旧石器時代においては、姶良Tn火山灰降灰期と推定される旧石器が集中して出土した。石器群は石刃と横長剥片を利用したナイフ形石器が中心で、近畿地方で後期旧石器時代後半期に普遍的にみられる瀬戸内技法の資料は含まれておらず、瀬戸内技法が成立する以前、後期旧石器時代前半期の石器群である可能性が高い。大阪平野ではこの時期の石器群はほとんど知られておらず、本資料は当該期の石器群の内容や変遷を考える上で重要な資料となる。さらに、弥生時代後期後半〜古墳時代初頭の遺構群を検出し、近傍に大規模な集落が存在する可能性が高い。　

　本書は、2019年度に実施した瓜破北遺跡の発掘成果を報告するものである。調査地は遺跡範囲の西端部に位置し、地表下約2.1〜2.2ｍで低位段丘構成層を確認した。縄文時代中〜後期の自然流路、弥生時代後期前半の溝を検出したが、当地における積極的な人間活動の痕跡は、中世〜近世における耕作に係わるものであった。
　近隣における調査例と比較しても、遺構・遺物の分布は希薄であり、各時代において集落域から外れた場であった可能性が高い。周辺一帯における土地利用の変遷を知る上で、有用な調査であったと考えられる。

『恵美須遺跡発掘調査報告』

(A4/100/33)

1400

360

　恵美須遺跡は上町台地の西縁に沿って延びる大阪低地の砂州に立地する遺跡である。調査では、縄文時代晩期〜近代の古地理と土地利用の変遷が明らかになった。
縄文時代晩期には大阪湾に面した砂礫浜であったが、弥生時代には砂礫干潟になり、やがて弥生〜古墳時代には海側に砂州が延びて閉塞された内湾に面する砂泥干潟になった。古墳時代後期には干潟が埋まり、後に紀州街道が整備されることになる浜堤が形成された。その後、古代にかけて砂礫浜が発達し、砂州を西側に成長させていった。中世には、砂採取遺構かと思われる溝状凹地が多数作られており、江戸時代〜近代には集落近傍の農地として利用されていた。

　2010年に東成区大今里1丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、室町時代以前の流路と室町〜江戸時代前半の農耕関連の遺構が見つかった。
この流路の方向は暗越奈良街道とほぼ同じで、この流路によって、14世紀には北半部に砂の高まりが形成され、この高まりが江戸時代まで残っていたことわかった。遺構は南半部の低い所に集中するという状況が見られた。
　こういった土地利用状況から、砂の高まりを利用した自然発生的な道路が通り、これが現在の暗越奈良街道の原型になる可能性が考えられた。また、16世紀末〜17世紀初頭の地震の痕跡も確認された。

『大阪市南部遺跡群発掘調査報告』

(A4/170/18)

2100

360

　1980〜1995年度に大阪市内南部で行われた各遺跡の発掘調査の報告を収録している。
　古墳時代中期の御勝山古墳では周溝の一部を確認し、縄文時代前期初頭の土器も発見された。
平野区加美遺跡や喜連東遺跡では、弥生時代の墳丘墓や、古墳時代の住居と生産にかかわる遺構が見つかった。別所遺跡では奈良時代の遺構と遺物が見つかり、亀井北遺跡では弥生時代後期から古墳時代前期の遺構・遺物が確認された。
平野環濠都市遺跡では弥生時代後期の壺形土器をはじめ、鎌倉時代の溝や室町時代以降の道路状遺構、光永寺本堂の遺構、江戸時代の都市形成にかかわる寺・濠・堤・屋敷地などの遺構と遺物が確認された。

　大阪市内北部にあるさまざまな遺跡の発掘調査30件の成果をまとめた。主要な成果には天王寺区の宰相山遺跡（縄文〜古墳、古代）、堂ヶ芝廃寺や摂津国分寺跡（古代寺院）などをはじめ、四天王寺旧境内遺跡（古代〜近世）、阿倍野区阿倍野筋南遺跡（古墳時代前期竪穴建物）や北区豊崎遺跡（弥生時代）、天神橋遺跡（近世）、中央区上本町遺跡（古代）などがある。なお、附編とした加美遺跡の調査（1983年）では『加美遺跡発掘査報告V・VI』で報告した調査に先行する一連の発掘調査を、長原遺跡の調査（1992年）では大阪市内最古級の旧石器製作址の出土層準に関する詳細な検討結果（火山灰分析他）を掲載している。そのほか、摂津国分寺跡（古代）や四天王寺（古代〜近世）の出土瓦の検討を附している。

『大阪市埋蔵文化財発掘調査報告−1996年度−』

(A4/186/66)

1400

着払

"−長原遺跡・瓜破遺跡・平野環濠都市遺跡・桑津遺跡・四天王寺旧境内遺跡・難波宮跡・大坂城跡・広島藩蔵屋敷跡− 1996年度に大阪市内で行われた各遺跡の発掘調査の報告を収録している。瓜破遺跡の弥生時代中期の集落、四天王寺の中世石垣、上町台地上の古代建物群、 大坂城から大量に出土した江戸時代の刀剣の鞘などを掲載する。平野環濠都市遺跡は本書の報告が初めてである。"

『大阪市埋蔵文化財発掘調査報告−1997年度−』

(A4/107/26)

800

360

"−長原遺跡・瓜破遺跡・加美遺跡・鞍作廃寺・矢田2丁目所在遺跡・ 山之内遺跡・四天王寺旧境内遺跡・上之宮遺跡・阿倍野筋遺跡・難波宮跡・難波京朱雀大路跡・大坂城跡・大坂城下町跡・大坂魚市場跡− 1997年度に大阪市内で行われた各遺跡の発掘調査の報告を収録している。瓜破・加美遺跡で発掘された弥生・古墳時代の方形周溝墓3基、 阿倍野筋・長原遺跡や矢田2丁目所在遺跡の古墳時代の竪穴住居のほか、 大坂城・大坂城下町跡で発見された豊臣期の茶屋と思われる建物や近世陶磁器類などを掲載する。"

"−山之内遺跡・阿倍野筋遺跡・伶人町遺跡・細工谷遺跡・船出遺跡・難波貝層遺跡・難波京朱雀大路跡・難波宮跡・大坂城跡・大坂城下町跡・中之島6丁目所在遺跡・森小路遺跡・三宝寺跡伝承地− 2001・2002年度に大阪市内で行われた各遺跡の発掘調査の報告を収録している。豊臣期大坂城の瓦窯と木製瓦笵ほかを掲載する。"

　現在の大阪城天守閣のすぐ南で1985年に発見された、豊臣秀吉の築いた大坂城本丸の石垣についての発掘調査概報である。

『特別史跡　大坂城跡』II　
−第二寝屋川改修工事(新鴫野橋下部工)に伴う大坂城跡発掘調査報告−

(B5/24)

300

215

　豊臣期の瓦堆積層、徳川期の石垣を検出した。豊臣大坂城から徳川大坂城にかけての変遷を確認できた発掘調査の概報である。

『大坂城跡』III　−追手門学院小学校特別教室棟建設に伴う発掘調査−

(B5/255/100)

4000

着払

　大坂城三ノ丸地域での発掘調査報告である。本願寺期の寺内町の建物や、豊臣・徳川両時代の三ノ丸外郭石垣など各時期の遺構を検出した。
　地層ごとに出土した16世紀後半から17世 紀前半の遺物は豊富で好資料である。

　豊臣氏大坂城三ノ丸の西外郭と考えられる大規模な塀・柵とそれに伴う溝状の落込みを検出した。この発見によって三ノ丸の範囲はかなり明確になってきた。
　ほかに、「井桁」や「橘」の家紋をあしらった金箔押瓦が出土し、屋敷の主を特定する大きな手掛かりを得た。豊臣前期には、礎石建物・掘立柱建物・柵などを検出した。三ノ丸外郭が壊されたあとに、大坂夏の陣で焼亡した礎石建物群も確認され、豊臣期における変遷をたどることができた。また、弥生〜古墳時代前期の遺構や、摂津国府や鴻臚館などの関係をみる上で重要な奈良時代中葉〜平安時代前期の遺構も見つかっている。

　調査地は豊臣氏大坂城の惣構堀のすぐ北側で、推定難波京朱雀大路にも近接する地点の発掘調査報告である。
　 前期難波宮造営期の整地層から出土した古墳〜飛鳥時代の土器や掘立柱建物、惣構堀掘削時の排土中から出土した天正13(1585)年銘の一石五輪塔などについて報告する。
　また、近年行われた難波宮南方の調査成果についてもまとめている。

『大坂城跡』VI

(A4/260/50)

1700

着払

　1979〜1994年までの15年間に行われた豊臣氏大坂城中心部での発掘調査の報告書である。 豊臣期では本丸詰ノ丸の石垣、二ノ丸や三ノ丸一帯に見つかった各種防御施設や多くの建物遺構、惣構の護岸や堀など、 豊臣期大坂城の構造復元の基礎資料を収録している。 また、周辺に広がる弥生時代の森の宮遺跡や古代の難波宮跡関連の調査成果、本願寺期の護岸石垣や徳川氏大坂城の遺構、近世人骨の形質学的分析結果も収録している。

　1985年以降に豊臣氏大坂城の西側惣構内で行った91件の発掘調査の報告書である。 惣構内に広がる豊臣期の遺構群を検討した結果、豊臣期城下町の構造が推定できるようになった。
　また、大坂城跡内各所から出土した金箔押し瓦を集成し、検討を加えた。 また、下層から見つかった奈良･平安時代に遡る建物や土器のほか、中世の遺構･遺物などを多数収録している。

『大坂城跡』VIII　
―平成18年度学校法人追手門学院による建設工事に伴う大坂城跡発掘調査報告―

(A4/48)

900

215

　上町筋東側の追手門学院学校敷地内で行われた発掘調査の報告である。豊臣前期には、建物の礎石と溝を検出した。金箔押桐紋飾瓦や熨斗瓦が出土しているため、大名の屋敷地であった可能性が高い。ドーンセンター調査地の武家屋敷が当地にも拡がることが明らかになった。三ノ丸造成後、土を敷き固めて瓦敷きを行って南北方向に道路を設け、東側を一段高くして建物敷地が造成されていた。豊臣後期の廃棄土壙からは、多数の容器と共に動物骨・魚骨・貝類が出土し、豊臣後期の三ノ丸における食膳形態の一様相が示された。さらに、大坂夏ノ陣の戦災で焼け落ちた建物や瓦組みの区画溝、柵を検出した。徳川期になると礎石列や井戸が設けられ、一時期、屋敷地になるといった変遷がうかがえた。

『大坂城跡』IX

(A4/24)

800

180

　追手門学院小学校内における発掘調査で見つかった、 三ノ丸北辺の石垣や金箔押軒丸瓦など豊臣期を中心とした遺構や遺物について報告する。
　また、連続すると考えられる他の石垣との位置関係や築造方法の比較から、 石垣の性格について考察するとともに、石材の詳細な鑑定結果を収録している。

『大坂城跡』X　―独立行政法人国立病院機構大阪医療センターによる建設工事に伴う難波宮跡・大坂城跡発掘調査報告書―

(A4/60/14)

1800

360

　国立病院大阪医療センター敷地内で行われた発掘調査の報告である。 18世紀後半を中心とする遺物が大量に出土した土採り穴と思われる大規模な土壙、そこから出土した土器・陶磁器や土製品などの好資料を報告する。

『大坂城跡』XI　
―大阪府営上町第1期住宅(建て替え)建設工事に伴う難波宮跡・大坂城跡発掘調査報告書―

(A4/60/8)

1000

310

　難波宮域の東南部で行った発掘調査の報告である。前期難波宮の宮城南門(「朱雀門」)に取り付く回廊は、後世の削平により残っていなかった。
　調査では、17〜19世紀代の井戸を複数検出し、このうち1基から出土した19世紀前半の土器・陶磁器・石製品・土製品は、時期的様相を把握するうえで好資料である。
　また、近代には、明治後半頃の畠や、1945年6月15日の第4次大阪大空襲で被災した長屋建物を検出した。調査を通じて、江戸時代から近代にかけて、当地域がどのような変遷をたどったか、都市史としても興味深い資料を得ることができた。

『大坂城跡』XII　―独立行政法人国立病院機構大阪医療センターによる建設工事に伴う難波宮跡・大坂城跡発掘調査報告書―

(A4/48/8)

1100

310

　国立病院大阪医療センター敷地内で行われた発掘調査の報告である。江戸時代の大規模な土採り穴と排水溝、昭和戦時中の防空壕を検出した。土採り穴の埋土や整地層からは、陶磁器や土製品、瓦などの多量の遺物が出土し、当時の大坂の生活を知るうえで貴重な資料である。

『大坂城跡』XIII

(A4/18/6)

900

215

　大坂城惣構の西南において、16世紀末(豊臣前期)から18世紀前葉までの約150年の間の町屋と推測される敷地内の変遷を把握し、城下町開発史を検討するための好資料を得た。

『大坂城跡』XIV

(A4/115/36)

1400

360

　豊臣氏大坂城惣構の北西隅で行われた発掘調査の報告である。古代では、7世紀前半から中頃にかけての大量の土器・瓦・木製品が出土し、7世紀後半の正東西に沿った溝が検出された。
　さらに、その溝とほぼ同じ位置に溝状の遺構が築かれ、多量の長岡京期の、祭祀、饗宴に伴う可能性がある遺物が出土した。中世では、集落が確認でき、遺物には中国産陶磁器のほか遠隔地からの搬入品が多く含まれていた。
　豊臣期では、土手状の高まりを軸に区画しながら盛土を行う珍しい工法の造成事業の具体的な姿が明らかになった。

『大坂城跡』XV

(A4/26/8)

1000

310

　大坂城惣構の西南において、太閤下水と愛称され、現代も使用し続けられている背割下水を裏込め側から発掘調査した報告である。石組みの築造時期を18世紀中頃と推定し、その変遷を把握するとともに、16世紀末(豊臣前期)からの当該地の土地開発を検討した。

『大坂城跡』XVI

(A4/38/8)

1100

310

　特別史跡大坂城跡内で実施した発掘調査の報告である。調査では、豊臣・徳川期の遺構を検出することができた。
　豊臣期には堀状の遺構があり、過去の調査と照らし合わせると、豊臣期二ノ丸西南方を囲う堀の一部であった可能性がある。徳川期では土採り穴などを検出した。
　　また、豊臣・徳川両期の大坂城築城の前提条件となった上町台地の旧地形についても知見を得ることができた。

　豊臣氏大坂城惣構の西北部での発掘調査の報告である。豊臣前期に島町通りを中心として本格的に開発が始まった調査地周辺が、宅地造成に伴う盛土や度重なる火災後の再建によって姿を変えて、近代にいたる約300年間の状況が明らかとなり、大坂における屋敷地の変遷の好事例を示すことができた。
　また、古代から中世にかけての遺物も少なからず出土しており、付近に居住地の存在が推測される。

『大坂城跡』XVIII
−特別史跡大坂城跡整備事業報告書−

(A4/154/32)

2200

360

　本書は、特別史跡大坂城跡の本丸、山里出枡形・山里丸において実施した発掘調査の成果を報告する。
　調査では、大坂夏ノ陣の焼土層に由来する盛土から豊臣期の瓦などが多数出土した。また豊臣期大坂城の盛土とともに、豊臣期大坂城山里丸の旧地表とみられる焼土面を確認し、溝や瓦敷を検出した。
　 徳川期では、山里丸多聞櫓の礎石・雁木・石垣を検出し、集水枡２基と暗渠が見つかった。集水枡のうち１つは絵図にも描かれていない新発見の遺構である。
　その他、土壙や小穴とともに戊辰戦争の際に焼亡した徳川期の建物の瓦などが多量に出土した。あわせて、石垣修理工事の施工報告を併載した。

『大坂城跡』XIX　−中央区大手前一丁目2-7他における建設工事に伴う大坂城跡発掘調査報告−

(A4/40)

900

215

　本調査地は豊臣氏大坂城三ノ丸の北辺石垣の外にあり、いわゆる惣構に当る。 大坂本願寺焼失後の整地層からは、寺内町の賑わいを現す中国産磁器ほか国産陶器などが出土した。 豊臣前期には小規模の土壙や柱穴、小穴などが不規則に重なり合い、非計画的な生活空間であったようだ。 豊臣前期末になると、南北性の溝が重なり、企画性のある空間利用が始まった。三ノ丸北辺の石垣が築かれた豊臣後期には柵か塀がつくられ、大坂夏ノ陣で被災した後、徳川期には大規模造成が行われている。慶長伏見地震に伴い出土した金箔瓦は目を惹く。

　本調査では、古代から中世の遺物を含む遺構、豊臣期の溝、徳川期の大坂城代下屋敷の池に伴うとみられる石垣などを検出し、難波宮宮域、豊臣期大坂城三ノ丸の西端の情報を得ることができた。また、武家屋敷から明治期の軍用地への開発の具体的な姿が明らかになるとともに、大正〜昭和期の谷町公設小売市場と考えられる遺構も確認され、この地域の近代・現代史の復元にも有益な情報を得ることができた。

『大坂城跡』XXI −豊臣石垣公開施設整備に伴う発掘調査−

(A4/281/72)

3000

370

　本書は特別史跡大坂城跡で行った豊臣期〜徳川期の本丸地区での発掘調査を報告する。
　豊臣期では詰ノ丸外郭石垣東南部と中ノ段東帯曲輪の一部で調査した。石垣は外廻りの出隅部を挟んだ東面・南面を検出し、石垣の基礎や築石・間詰石の状態などを明らかにした。矢穴痕のある築石をわずかに用いた野面積と隅角部を初現的な算木積にした構造は天正期における石垣構築技術の指標となる。中ノ段では石垣に対峙する礎石建物を発見した。本丸図では空閑地であった場所に、夏ノ陣で焼亡した瓦葺きと思われる建築物が発見されたことは、豊臣期大坂城内の復元研究にとって重要な成果である。
　夏ノ陣後では、徳川期大坂城再築普請が開始されるまでの間に中ノ段で行われた片付けを認め、また、再築普請の整地層内で石積や土嚢を用いた土留遺構を検出し、その施工技術を具体的に明らかにした。
　再築後の徳川期大坂城では、18世紀半ばに長屋建物を改築した新金蔵の区画施設や大量に瓦を破棄した土壙群、19世紀の舗道遺構などを検出し、徳川期の絵図と対比させながら当該地の変遷を明らかにする資料多数を得た。

『大坂城下町跡』I
　　−扶桑道修町ビル建設工事に伴う発掘調査−

(B5/17)

500

180

　大坂の陣(1614〜1615年)によって焼失した大坂城下町の発掘調査の図録である。
日本国内はもとより世界各地からもたらされた物品とともに桃山陶磁の美しさを余すことなく伝える写真集である。

　大坂城の西側に建設された船場城下町地域で行われた発掘調査の報告である。 近世城下町の構造を復元できる遺構や遺物のほか、下層で確認された古墳時代初頭から古代の遺構・遺物、中世の中国製磁器や｢東大寺大佛殿｣銘軒丸瓦などを収録している。
こうした調査成果を踏まえ、古墳時代以降の船場地域の地形復元や、 古代集落から近世城下町への変遷過程を考察し、 豊臣期城下町の構造を復元した。

　大坂城下町跡で行われた発掘調査の報告である。調査地では、17世紀中葉に南北方向の敷地境の溝を掘り、町屋の敷地割が成立していた。
　この敷地境の位置は以後踏襲され、敷地が盛土で嵩上げされても同じ位置を保っていた。東側の敷地では、18世紀前葉に西面する石垣が築かれる。石垣は堅固な建物を建てるための地業であったと考えられる。
　これに伴う整地層からは、18世紀の例としては珍しい金箔貼りの土師器皿が出土した。一方、西側の敷地では、北西部で17世紀中葉以降のゴミ穴が多く掘られていたほか、鍛冶炉や鞴羽口・鉱滓が出土した。

　本書は、大深町遺跡において、2016〜2017年度に行った１件の発掘調査の成果を報告するものである。
　調査地は、江戸〜明治時代の「梅田墓」にあたり、200体を超える土葬人骨のほか、墓地の南北を区画する石垣、火葬の際に生じた大量の骨灰（残灰）土を含んだ大型土壙、骨壺を廃棄した土壙、水田跡などが検出された。墓地は、それまでにあった墓地を少なくとも一部を壊して、あらたに18世紀末頃に造成（拡張）され、明治20年代頃まで営まれていた。埋葬形態は多様で、土葬では桶による座棺、屈肢形態の土壙墓、土をかけただけと思われる簡単な埋葬などがあり、異なった分布をしていた。出土人骨には高い割合で病変が確認された。また、明治前半期のごく短い期間に多くの遺体が埋葬されており、疫病、火葬の禁止などと関連する可能性がある。
　梅田墓は「七墓巡り」と呼ばれた習俗や、近松作品などを通じて、その存在はよく知られていたものの、詳細は不明であった。本調査によって、初めて、墓地の構造・造成過程、被葬者の具体的な姿が明らかになり、大阪の近世から近代の墓制史、庶民の信仰などを知る上で大きな成果が得られた。

『大深町遺跡発掘調査報告−梅田墓の調査−』II

(A4/268/24)

2900

370

　本書は、大深町遺跡において2019年度に行った発掘調査の成果を報告するものである。 調査地は、大坂七墓の一つである近世墓地「梅田墓」にあたり、東・南・北を石垣で区画した墓地内から1,700体を超える土葬埋葬の跡が見つかった。墓地内部は埋葬方法が大きく異なる北部の土葬累積域と南部の木棺墓域とに分かれており、特に北部の墓地造営初期の段階には複数遺体を同時に埋葬した跡が見つかり、疫病などで大量に亡くなった人をまとめて埋葬したと考えられる。出土人骨には高い割合で病変が確認された。また、墓地とその周辺では人以外にも動物の埋葬も行われていた。さらには、墓地造営直前に火葬骨灰とともに大量の蔵骨器を廃棄した跡が見つかり、蔵骨器の墨書から梅田墓の被葬者の出身地の範囲を知ることができた。
　今回調査した墓地は、江戸時代の終わり（19世紀の半ば）から明治時代の初め（19世紀末）にかけて営まれたもので、近世から近代初めの大阪の都市史や信仰・墓制史を明らかにする上で大きな成果が得られた。

『遠里小野遺跡発掘調査報告』I　−杉本町団地建替に伴う発掘調査報告書−

(A4/92/19)

1100

360

　住吉区遠里小野遺跡で実施した発掘調査の報告である。 調査地付近に存在したとされる「榎津寺」に係るまとまった量の古代瓦(白鳳〜平安時代)や、 周辺でも多数見つかっている古墳〜飛鳥時代の竪穴式住居及び堀立柱建物について報告する。

『遠里小野遺跡発掘調査報告』II

(A4/41/10)

1300

310

　調査地は、古代の港津である「朴津水門(えなつのみなと)」の比定地であり、正方位をとる飛鳥時代の大型掘立柱建物などを検出した。
これまでに高台上で見つかっている建物群を含めて、国家的港津の一端を示すものと思われる。また、明治元(1868)年閏4月13日の大和川決壊によると断定できる洪水痕跡についての報告も収録する。

　本書は神崎川左岸において行った、加島遺跡の発掘調査成果を報告するものである。調査地は中世には神崎川の河道内にあったが、近世には陸化して畠として利用された。耕作地はしばしば洪水による被害を受けたが、その都度災害復旧に取り組んだことが判明した。これらは神崎川の後背低地における土地利用を示すものとして注目される。
　また、有離資料ではあるが、弥生土器や古式土師器・須恵器などが出土しており、中世以前にも周辺に生活の痕跡が認められる可能性がある。

『加島１丁目所在遺跡発掘調査報告』

(A4/35/13)

1100

310

　2009年に淀川区加島1丁目所在遺跡で行った発掘調査の報告である。加島は淀川および猪名川の河口部に発達した中州に位置すると考えられる。出土した中国産磁器や国産陶器からは、785(延暦4)年に淀川と神崎川(三国川)がつながったのち、京都と西日本とを結ぶ主要な河川交通路の港津として賑わった集落が付近に存在したことをうかがわせる。「加島」は古代の宮廷儀礼である八十島祭の名となった「難波八十島」の一つと伝えられる。当地周辺が陸化した時代について出土資料をもとに放射性炭素年代測定を行って検討した。

　2001年度に行われた加美遺跡西縁部での発掘調査の報告である。 古墳時代前期の畠と考えられる小溝群と多数出土した外来系土器が注目される。外来系土器には東海地方をはじめとして、大廓式二重口縁壷などの東日本の土器が多い。 また、加美遺跡出土の外来系土器の集成も巻末に収録する。

『加美遺跡発掘調査報告』II　−市営加美神明東・加美細田住宅建設工事に伴う発掘調査報告−

(A4/192/37)

1500

360

　2000年度に加美遺跡北部で実施した市営住宅建替えに伴う発掘調査の報告である。 古墳時代前期の集落・水田、人面墨画土器を始めとする多量の祭祀遺物が出土した奈良時代の流路など、 弥生〜江戸時代の遺構・遺物について報告する。

『加美遺跡発掘調査報告』III

(A4/61/20)

1400

310

　2009年度に行われた発掘調査の報告である。弥生時代中期後半〜後期前半の溝・畦畔状高まりが確認され、耕作地として利用されていたことがわかった。古墳時代前期には、集落域から水田域への変化をたどることができた。飛鳥〜平安時代には主に耕作地として利用されるなかで、平安時代には掘立柱建物が存在し、耕作地の管理・経営を行う施設であった可能性がある。

『加美遺跡発掘調査報告』IV

(A4/78/15)

1900

310

　加美遺跡北部で行われた発掘調査の報告である。過去に見つかっていた奈良時代の大溝とほぼ同時期とみられる掘立柱建物3棟や掘立柱列を検出した。これらの建物は、規格的に配置されていることなどから公的な施設であると推定され、平野川沿いの交通路やそれに伴う平野川右岸の開発との関連が考えられる。

　加美遺跡の名を全国に知らしめた弥生時代注記後葉の西日本最大級となった墳丘墓（Y1号墓）の発掘調査報告書である。木槨を頂点に木棺を合わせた主体部23基から出土した銅釧やガラス玉などの副葬品や、葬送過程で行われた儀礼の実態を示す多量の土器・木製品が周溝から出土している。隣接するY2号墓とともに、弥生時代の研究に欠かせない調査となった。ほか、現加美東小学校校舎建設に伴って行われた調査では、弥生時代末〜古墳時代前期の集落跡を報告している。竪穴建物や鉄剣形銅剣・銅鏃など希少な資料のほか、庄内期を中心とする大量の土器が見つかっている。

『加美遺跡発掘調査報告』VI

(A4/326/114)

3700

着払

　弥生時代末〜古墳時代初頭の周溝墓46基にのぼる墓域と、それに接した竪穴建物・掘立柱建物・井戸などの集落の変遷を詳細に記載した当該期の河内平野の様相を語る必携の報告書である。周溝墓には前方後方形のもの2基、円形のもの4基を含み、内行花文鏡（破鏡）や鋸歯文鏡・管玉・ガラス玉のほか玉杖（石突）など副葬品にも重要な資料が並ぶ。

『加美遺跡発掘調査報告』VII

(A4/179/48)

2300

着払

　平成8〜9年に加美遺跡で行った市営住宅建替えに伴う発掘調査の報告である。弥生時代では中期の方形周溝墓・水田や地震痕跡が見つかり、鳥形木製品や木庖丁・石庖丁が出土した。後期には銅鏃が出土した。弥生時代末〜古墳時代前期には土器棺や耕作跡が見つかり、直弧文を刻んだ船材や木製容器・農具、滑石清玉類が出土した。奈良時代の大溝からは絵馬・人面墨画土器・木簡・人形・木製農具・容器などの多様な遺物が出土した。

『加美遺跡発掘調査報告』VIII　平野区加美東六丁目における発掘調査報告書

(A4/88/18)

1800

360

　加美遺跡は河内低地の西南部にあり、弥生時代中期から中世にかけての複合遺跡である。本調査地では、弥生時代中期の水田、弥生時代後期の溝や水田、古墳時代前期の土器棺墓や土器廃棄場、溝、水田、古代の土壙や運河、中世以降の水路・耕作溝など、周辺地における従来の成果を踏襲する遺構・遺物が多数発見された。殊に古代の大規模な運河は延長2�q以上が直線的に掘られており、後期難波京の京域外につくられた水路遺構として注目される。

『加美正覚寺遺跡発掘調査報告』

(A4/32/22)

1000

310

　2010年に平野区加美正覚寺3丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、古墳時代中期末の集落跡を確認し、掘立柱建物、井戸と思われる水溜状遺構のほか、祭祀関連の遺構、土師器・須恵器・ミニチュア土器、玉類などの遺物が出土した。また、飛鳥〜奈良時代では、耕作に関わる溝、掘立柱建物などが見つかった。中世では、水田跡や掘上げ田を検出した。

『亀井北遺跡発掘調査報告』　−都市計画道路竜華東西線建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/34/7)

900

310

　大阪竜華都市拠点地区土地区画整理事業に伴い、2002･2003年に実施した発掘調査の報告である。 飛鳥時代の水田や平安時代の自然流路など、古代から江戸時代にかけての遺構・遺物を収録する。 周辺の調査成果をコンパクトにまとめ、亀井北遺跡を知るには便利な1冊。

『苅田4丁目所在遺跡発掘調査報告』　−大阪府営苅田北住宅建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/61/19)

1300

310

　住吉区苅田4丁目の鋳造関連遺物が多量に出土した発掘調査の報告書である。 『真継家文書』の「河内国鋳物師座法」により、苅田には15世紀に鋳物師が存在したと推測されていたが、 この調査で初めて15世紀の鍋や犂先の鋳型など鋳造遺物が出土した。本書は、これら「苅田鋳物師」に係る調査成果を収録するとともに、 西方の山之内遺跡で発掘されている鋳造遺構との関係についての考察も収める。

『苅田4丁目所在遺跡発掘調査報告』II

(A4/96/28)

900

360

　中世「苅田鋳物師」の存在を明らかにした 『苅田4丁目所在遺跡発掘調査報告』の続刊である。 15〜16世紀前半の 井戸や鋳造工房施設に関連する遺構を中心に、 区画の溝や柱列、集落の北西を画するとみられる堀を検出した。 また、おもに鉄製品の鋳造に関連する溶解炉・鞴羽口・支脚・鋳型などの鋳造関連遺物が出土し、 良好な資料の多い溶解炉については復元案を示した。

『苅田4丁目所在遺跡発掘調査報告』III

(A4/44/13)

1100

310

　2009年に住吉区苅田4丁目所在遺跡で行った発掘調査の報告である。縄文時代から江戸時代にかけての遺構・遺物が確認された。特に、室町時代の河内鋳物師に係わる遺構と推定されるL字形に曲がる溝が注目される。炉壁・鞴羽口・鋳型・鉱滓といった鋳造関連遺物も多数出土し、15世紀代を中心として14世紀から16世紀のものである。溝の位置や出土遺物の特徴から、集落の外縁を画する溝であった可能性が高い。その他、縄文時代の有茎尖頭器や、古代の土器・土錘、江戸時代の粘土採掘土壙や耕作痕跡などを報告した。

『苅田9丁目所在遺跡発掘調査報告』

(A4/45/10)

1200

310

　苅田9丁目所在遺跡で初めて行った発掘調査の報告である。古代〜江戸時代の遺構・遺物が確認された。

『苅田9丁目所在遺跡発掘調査報告』II

(A4/33/8)

1200

310

　苅田9丁目所在遺跡で行った発掘調査の報告である。古墳時代と考えられる溝・土壙を確認した。平安時代では、南北方向の幅広の溝を2条検出し、条里制にもとづく開発が行われたことがわかった。鎌倉〜室町時代では、耕作に係わる小溝群を多数検出し、調査地周辺が耕作地として利用されていたことがわかった。江戸時代以降についても小溝群が多数検出され、現代に至るまで耕作地として利用されてきたといえる。

『瓦屋町遺跡発掘調査報告』

(A4/69/13)

1300

360

　豊臣氏大坂城惣構の西南部の外側に接する場所で行われた発掘調査の報告である。本遺跡は町名が示すとおり、徳川期に大規模な瓦の生産地帯であったことが知られている。調査では、窯などの遺構は見つからなかったが、大量に投棄された18世紀後半〜19世紀前半の瓦が見つかった。瓦には、幕府御用瓦師「寺島家」との関係を示す刻印が多数見つかった。ほかに、瓦製の瓦笵、瓦製作に使われた窯道具、瓦とともに焼成したと考えられる瓦質製品など、瓦の生産地ならでは遺物が出土した。加えて、陶器土型や陶窯の窯道具、ミニチュア土製品とその土型、ベンガラを焼いた焙烙、金属加工品に係わる鋳型や鍛造関連資料など、瓦以外の各種製造業が付近に存在していたことを示す遺物も見つかり、周辺一帯が複合的な工業生産地域であったことがうかがえる。

『北河堀町所在遺跡発掘調査報告』 −天王寺区悲田院町における建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/108/17)

1600

360

　2012〜2013年に天王寺区の北河堀町所在遺跡で行われた発掘調査の報告である。難波京については、その南端が調査地を横断すると考えられている。調査では、大型の掘立柱建物4棟などからなる建物群を検出した。この建物群の時期は7世紀後葉と考えられる。古代の難波地域の土地利用や難波京の施行範囲について、重要な知見を得られる成果となった。江戸時代には、基本的に耕作地として利用されたり、壁土の採取を目的とした土採り穴が掘られたりして、これにより下位の遺構は大きく削平されていた。

『北畠公園遺跡発掘調査報告』

(A4/16/4)

700

215

　2010年に阿倍野区王寺町3丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、弥生時代後期の環濠の一部と推定される大溝が検出された。調査地の北側に集落が存在すると推定される。このほか、江戸時代の阿倍野街道に沿う溝などが検出された。

『喜連西遺跡発掘調査報告』

(A4/44/18)

1300

310

　2010年度に行った発掘調査の報告である。後期旧石器時代と考えられるサヌカイト製の楔形石器・小型ナイフ形石器・石核・剥片、縄文時代前期の石鏃などが出土した。弥生時代では、中期後葉の土器や石鏃が出土し、同終末の大型の墳丘墓や土器埋納土壙など検出し、南方にある同時期の瓜破北遺跡の集落および墓域と当地域の関係を明らかにするための資料を得た。また、室町時代の掘立柱建物や鋤溝群を検出し、輸入銭貨の紹聖元寶が出土した。

『喜連西遺跡発掘調査報告』II

(A4/12/3)

500

215

　2012年度に行った発掘調査の報告である。弥生時代では、中期後半および後期後半の弥生土器が出土した。また、中世〜現代までは作土層が重なって検出され、周辺は耕作地として利用されていたと考えられる。

　『喜連西遺跡発掘調査報告』の調査地の西隣で行った発掘調査を報告する。中世以前の溝などを調査した。

『喜連西遺跡発掘調査報告』IV
　　　 −大阪市都市整備局による西喜連第５住宅建設工事にかかる発掘調査報告書−

(A4/78/22)

2100

360

　本書は、喜連西遺跡において2016年度に行った1 件の発掘調査の成果を報告するものである。
　後期旧石器時代のナイフ形石器、縄文時代中〜後期とみられる石鏃などが出土した。
　弥生時代では、自然流路から前期および中期の土器が出土したほか、中期中葉の土壙や中期後葉の灌漑水路と水田、穿孔土器を並べ置いた祭祀遺構を検出し、一帯に弥生時代中期の集落が存在していたことが推測できるようになった。
　庄内式期から古墳時代前期にかけての方形周溝墓を2 基検出し、周辺の調査成果と併せて一帯にこの時期の墓域が広がっていたことが判明した。特に大型の1 号方形周溝墓の墳丘上で2 基の埋葬施設を確認し、中心埋葬には水銀朱、周辺埋葬にはベンガラを用いるという違いがみられ、周辺埋葬からは着装された状態で管玉が19点出土した。これらは弥生時代から古墳時代への移行期の葬送習俗や階層性を考える上で重要な資料となる。また、1 号方形周溝墓の周溝内や自然流路内からは多くの土器が出土し、西は北部九州から東は東海地域まで各地の土器が持ち込まれており、喜連西遺跡の集団が積極的な対外交流を行っていたことを示す重要な資料となる。
　東の低地は古代までずっと湿地帯で、浅い湿地になった頃から人や動物の足跡が見られるようになる。古代の終わりか中世に入ってからのことである。干上がると水田が営まれるようになり、ここも生産域として活用されるようになったことがわかった。

『喜連東遺跡発掘調査報告』I　−大阪市建康福祉局による建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/46/12)

800

310

　1999･2000年度に喜連東遺跡南東部で行った発掘調査の報告である。 古墳時代の方墳2基のほか、飛鳥〜奈良時代の溝群、 平安時代の掘立柱建物･土壙、江戸時代の井戸･耕作痕跡など、旧石器時代から江戸時代の遺構･遺物について報告する。

『喜連東遺跡発掘調査報告』II

(A4/49/23)

1400

310

　縄文〜江戸時代にいたる遺構・遺物を検出した。古墳時代には、5世紀後葉の古墳4基を検出した。いずれも方墳で小規模ながら、ガラス玉、円筒埴輪のほか、朝顔、衣蓋・馬・人・盾・家などの形象埴輪や、多数の須恵器が出土し、長原古墳群同様の規模・墳形・遺物をもつことがわかった。これにより、喜連東遺跡の古墳が長原古墳群の支群として形成された可能性が高まった。また、古墳時代の墓域から、飛鳥時代になると水路が引かれ、水田域に変化する様子がわかるなどの成果があった。

『久留米藩蔵屋敷跡発掘調査報告　北区中之島四丁目用地における未来医療国際拠点事業に伴う発掘調査報告書』

(A4/110/22)

1500

360

　調査地点は久留米藩蔵屋敷のほぼ中央に位置する。15世紀前半頃から1900年頃の間を11の地層に区分し、10面の遺構面で変遷を把握した。それによれば、久留米藩蔵屋敷の成立は豊臣後期頃の畠を埋めた盛土を契機とし、1620年代〜30年代と推定された。当初は畠と蔵屋敷の施設が併存し、出土種子から綿・菜種・大根などの商品作物が栽培されていた。17世紀後葉に畷のような堤状遺構がつくられ、これと隣地の広島藩蔵屋敷の間で北組の町人地となっていた範囲が推定できた。18世紀初頭にこの町人地も取り込んで、再度の盛土を行って蔵屋敷が拡充された。諸施設に囲まれた空地であった調査区には、18世紀後半〜19世紀初に廃棄土壙が集中し、その後、久留米藩蔵屋敷絵図に描かれた蔵2棟が建てられた。これらの蔵は幕末までに撤去され、蔵の存続期間をもとに絵図の制作年代を1820年代後半〜1840年代前半の間と絞り込んだ。また国元の筑後との関連を示す遺物では、廃棄土壙から相当量の九州産陶器の土瓶などが出土した。動物遺存体の分析では、これまでの近世大坂の調査地点に比べて鳥類の比重が高いという特徴があった。

　縄文時代草創期の有茎尖頭器から近世桑津の環濠集落まで、幅広い遺構・遺物について報告する。注目されるのは、弥生時代中期の土器・土製品が多量に出土した井戸、22基にのぼる方形周溝墓である。ほかに、古墳時代中期の竪穴住居や埴輪、飛鳥・奈良時代の掘立柱建物群や井戸、田辺廃寺に関連する瓦がある。7世紀前半の井戸からは日本最古の呪符木簡が出土した。田辺東之町遺跡では、飛鳥・奈良時代の掘立柱建物・溝、平安時代の火葬墓を検出した。また、その時期の開発によって破壊された古墳のものと思われる鰭付円筒埴輪が多数出土した。

『桑津遺跡B地点発掘調査報告』

(A4/20/7)

800

310

　2009年に東住吉区北田辺4丁目で行われた発掘調査の報告である。8世紀中〜後半ごろの土師器・須恵器を含む井戸や土壙が検出された。古代の田辺廃寺推定地はこれより東の斜面に当てられているが、地形的に寺域としてはふさわしくなく、今回の発見は寺域の範囲について再考を促す新資料といえる。

　1996・1997年に実施された天王寺区細工谷遺跡の発掘調査の報告である。調査地は難波京の中央、百済郡と呼ばれた地域に当り、百済王氏が勢力を置いた地と考えられる。調査では、全国初の発見である和同開珎の枝銭や、百済王氏の氏寺と考えられる「百済尼寺」の存在を示す多数の墨書土器・瓦をはじめ、帯金具・鋲・耳環などの銅製品、金鉗・銅切り屑などの金属加工関連遺物、富本銭、木簡など、飛鳥〜奈良時代の数々の遺物が出土した。

『細工谷遺跡発掘調査報告』II

(A4/70/35)

1800

360

　1996年に和同開珎の枝銭などが出土した地点の北側の発掘調査の報告書である。 埋没した谷が発見され、そこから出土した古墳時代から中世にかけての多くの土器について報告する。 また周辺の開発のようすを明らかにし、難波京朱雀大路や百済尼寺の所在地に関する考察を収録する。

『細工谷遺跡発掘調査報告』III
　　　 −大阪市建設局による難波片江線建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/86/34)

1800

360

　本書は、細工谷遺跡において行われた発掘調査の成果を報告するものである。古墳時代中期から室町時代までの遺構・遺物を掲載するが、中でも古墳時代と飛鳥〜奈良時代についての成果が注目される。
　谷の傾斜面をカットして積んだ古墳時代中期の整地層とその上面の柱穴や溝・小穴が見つかった。古墳時代中期の間に再度盛土がなされ、積極的にこの谷を利用したことが窺えた。この盛土の上でも溝や塀、掘立柱を用いた構築物が建ち並び、7世紀後半の洪水で埋まるまで、何度も建て替えながらこの谷の中の土地を利用し続けたことが窺えた。
　7世紀後半の洪水の後、一段掘り窪んだ地面を利用した水田が営まれるようになった。この時、水利施設も整備され、木製樋管を使った暗渠が設置された。7世紀の終わり頃のことである。

　細工谷遺跡西部の上町台地東端、河内湖西岸付近で行われた発掘調査の報告である。調査では、古墳時代から奈良時代の湿地堆積層やそれ以降の作土層やウシなどの足跡が確認され、少量だが遺物も出土した。

『宰相山遺跡発掘調査報告』I　−大阪市都市環境局による建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/65/21)

1100

310

　2002年に天王寺区真田山町5番地真田山公園内で行われた発掘調査の報告である。調査では、旧河内湾から河内湖にいたる地形環境が明らかになり、 また古代難波京の復元研究に資する７世紀の東西溝などが見つかった。遺物には縄文早期の高山寺式土器、 ７世紀後半の完形の木製鋤などが出土した。 あわせて、1938年の第一次調査(唐開元通宝や難波宮の重圏文軒丸瓦などが出土)に参加された戸田秀典氏の報文を掲載した。

『宰相山遺跡発掘調査報告』II　−2003年度真田山公園整備工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/40/20)

1000

310

　2003年度に実施した宰相山遺跡の発掘調査の報告である。 飛鳥時代の溝から出土した舟形木製品をはじめとする、弥生時代から奈良時代にかけての多様な遺物などを報告する。

『旧佐賀藩大坂蔵屋敷船入遺構調査報告』

(B5/36)

500

215

　大阪高等裁判所敷地内で発見された、佐賀藩蔵屋敷に係わる船入遺構の発掘調査報告書である。 船入は、大川から直接蔵屋敷内へ船で出入りできるように石垣で築かれた施設で、 江戸時代における大阪の繁栄ぶりをうかがわせる貴重な遺構である。

『佐賀藩蔵屋敷跡発掘調査報告』

(A4/191/15)

2400

360

　佐賀藩蔵屋敷跡の発掘調査の報告である。調査では、蔵屋敷成立以前から蔵屋敷が廃絶するまで、各時期の遺構を検出することができた。各時期の遺構の変遷が考古学的に把握できたことは、大きな成果である。遺物では、盛期を中心とした多量の鍋島焼が出土しており、美術史的にも注目される。また、佐賀から搬入されたと考えられる土師器や瓦が存在し、国元と蔵屋敷の関係を考える上で重要である。

　2012年度に行われた三宝寺跡伝承地D地点の発掘調査の報告である。弥生時代中期以前の谷と中世以降の耕作地を検出した。また、弥生時代中期後半の土器のほか、11世紀〜13世紀にかけて遺物が出土し、平安時代後半から鎌倉時代にかけて付近での人間活動が活発化したことがわかった。

『四天王寺旧境内遺跡発掘調査報告』I　
−大阪市建設局による道路敷設工事に伴う発掘調査報告書−

(B5/136/40)

2500

360

　四天王寺の北東における発掘調査の報告である。 古代〜江戸時代の遺構・遺物を報告する。 特に中世後期の堀は寺域を復元する上で重要である。 また、考察として、15・16世紀の陶磁器・土器の編年、大阪市域出土の古代瓦の集成、四天王寺の寺域の検討を収録した。

『四天王寺旧境内遺跡発掘調査報告』II

(A4/10/28)

800

310

　今回の調査地は四天王寺の東方で、難波京の条坊道路跡に位置している。道路側溝は後世の攪乱により検出されなかったが、平安時代以後の遺構と遺物が検出された。中世の地割が条坊制を踏襲していること、近世の豊臣期以後、調査地では本格的な町場化が進んだことなどが知られた。

『荘厳浄土寺境内遺跡発掘調査報告』
−大阪市建康福祉局による建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/101/29)

1600

360

　平安時代創建とされる荘厳浄土寺の西隣で行った発掘調査の報告書である。7世紀の柱穴や溝、13〜14世紀の井戸・溝・柱穴、17世紀前半の池が発掘され、 寺院に用いられたと思われる多量の瓦が出土した。また、荘厳浄土寺に係る史料を検討し、 住吉大社旧境内遺跡や住吉行宮跡での既往の調査成果をも合わせた中世住吉についての考察を収録する。

『住友銅吹所跡発掘調査報告』　−住友銀行鰻谷新システムセンター建設に伴う発掘調査報告書−

(B5/608/207)

15000

着払

　江戸時代における日本最大の銅精錬所を発掘した画期的な調査報告書である。 大量の精錬関係の遺構・遺物や高級陶磁器などを、豊富なカラー写真や図などで報告する。 考古学の他に、冶金・鉱業史・産業技術史・建築史・文献史などの多分野の論考も収録する。

『摂津国分寺跡発掘調査報告』

(A4/14/4)

600

215

　摂津国分寺跡の北辺付近で行われた発掘調査の報告である。調査では、寺域の推定北辺に並行する東西性の溝、段、杭列と、これらに重なる井戸を検出した。これらは国分寺の寺域境を踏襲する可能性がある。また、遊離資料だが、古代の須恵器や瓦類など摂津国分寺の存在を傍証する遺物が出土した。

『崇禅寺遺跡発掘調査報告』I　−市営住宅建設工事に伴う発掘調査報告書その3−

(A4/43/9)

800

310

　崇禅寺遺跡は、淀川河口の長柄砂州に立地し、かつては西を大阪湾、東を河内湖に挟まれた場所であった。弥生時代後期末から古墳時代前期を中心とする遺跡である。本書では、他地域からもたらされた土器や、土壙から一括して出土した土器などを掲載する。 ほかにも古墳時代中期の遺構、中世「崇禅寺」に係わると考えられる遺物についても報告する。

『崇禅寺遺跡発掘調査報告』II　−東淀川区東中島五丁目における発掘調査報告書−

(A4/9/2)

500

215

　2011年に崇禅寺遺跡の南東端で行われた発掘調査の報告である。古墳時代前期の土壙と土器が出土し、これまで調査があまり及んでいなかった南東端地域の状況が明らかになった。

　2012年に崇禅寺遺跡の発掘調査の契機となった弥生時代後期の壺が発見された中島惣社のすぐ東側で行われた発掘調査の報告である。調査では、弥生時代末〜古墳時代初頭の古土壌が確認され、その時期の遺構が検出され、調査地の周辺に集落の中心があった可能性が高まった。また、古墳時代中期や古代〜江戸時代の遺物が出土した。

　2012年に行われた崇禅寺遺跡Ｂ地点の発掘調査の報告である。調査では、弥生時代末の土壙と土器が出土したほか、江戸時代の井戸や土壙などを出土した。

『曽根崎遺跡発掘調査報告』

(A4/25/6)

700

310

　2010年に北区曽根崎2丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、当地が陸化する過程を把握できたほか、中世後期以降の作土層を検出した。

『大国遺跡発掘調査報告』

(A4/41/7)

1200

310

　2010年に大国遺跡で行われた発掘調査の報告である。調査では、中世後期の大溝や、江戸時代の遺構を検出した。中世後期の遺構については、中世に活躍したとされる今宮供御人の動向とも係わって、周辺地域の開発の過程を知る上で注目される。

『茶屋町遺跡発掘調査報告』

(A4/101/18)

1700

360

　もと梅田東小学校敷地内で行われた茶屋町遺跡の発掘調査の報告である。弥生時代後期の土器や、平安時代の溝、江戸時代の中国街道沿いに建て並ぶ建物跡、背後に拡がる畠地を確認した。特に、多量に出土した19世紀前葉の陶磁器類は、茶屋などの飲食を提供する施設からの廃棄物とみられる。また、明治半ば以降には、畠地から、建物が建ち並ぶ景観に変わることが明らかになった。

　住吉を拠点とした有力氏族津守氏との関係が注目される津守廃寺における初めての発掘調査である。1940年に近隣で採集された資料に白鳳期や中世の瓦が含まれたことから遺跡は津守廃寺と呼称されている。一方で、当地を含む大阪市立墨江小学校の敷地の一部は明治元年に廃寺となった津守寺の寺域であったが、その創建年代はよくわかっておらず、古代・中世の寺院関連遺物との関係については、今後の調査の進展を待つ必要がある。
　しかしながら、今回の調査で見つかった中世の遺構は一部に石組を設けた大型の溝をはじめとする一般の集落とは異なるもので、輸入陶磁器に加えて多量の中世瓦が出土したことは、西隣の津守氏の居館跡と推測されている住吉行宮跡の遺構・遺物の様相とも異なる性格を示すものである。今回の調査で見つかった遺構には建物が無く、堂宇伽藍の配置や変遷については今のところ不明であるが、当地が寺院に属する可能性は高いと考えられる。
　中世の遺構は16世紀後葉の整地によって埋められ、当地はいったん平坦化され、豊臣期〜徳川初期の遺構で検出されたものは少ない。その後、17世紀前葉以降になると整地を繰り返しながら作土層が形成され、当地の一部は耕作地に利用されたと考えられる。検出された大型の溝と平行する通路状の高まりは中世と同じ位置を踏襲しており、周囲を含めた土地の利用区分に連続性が想定される。
　津守寺には延喜元（901）年創建との伝承もあり、こうした点からも同寺が室町期以前に遡って存在していた蓋然性が高まったと考えられよう。

『天満本願寺跡発掘調査報告』I

(B5/79/24)

1500

310

　天満地域における豊臣期城下町の発掘調査報告書である。豊臣期の屋敷や道路などの遺構、初期唐津焼を含む陶磁器・金箔押瓦・印章などの遺物を報告するとともに、 天満本願寺に対する文献史的検討、豊臣期の陶磁器編年についての考察などを収録する。

『天満本願寺跡発掘調査報告』II

(B5/66/30)

1500

310

　『天満本願寺跡発掘調査報告』I で報告した、豊臣前期の大きな屋敷地の連続部分にあたる場所での発掘調査の報告である。 調査地である造幣局は、豊臣秀吉によって移設された本願寺の有力な候補地である。調査では、石垣で補強された屋敷地の東縁部・出入り口・門などが見つかった。また、近世陶磁器編年を利用し、豊臣期から徳川期にいたる屋敷地の変遷を詳細にたどった。

『天満本願寺跡発掘調査報告』III

(B5/68/27)

1500

310

　前2冊に続き、豊臣期の屋敷地についての発掘調査報告で、3次にわたる造幣局敷地南部の調査の総括である。 豊臣〜徳川期の遺構の変遷、出土した徳川期の一分判金、幕末期の大量の陶磁器などを収録する。

『天満本願寺跡発掘調査報告』IV

(B5/48/15)

1000

310

　1997年に行われた造幣局敷地内での発掘調査の報告である。調査地は、江戸時代の大坂町奉行所与力屋敷の一部にあたり、これに関係する良好な一括資料が出土した。 また、初めて古代・中世と考えられる遺構を確認した。

『天満本願寺跡発掘調査報告』V

(B5/44/15)

900

310

　2001年度に行われた造幣局敷地内での発掘調査の報告である。 大川の河岸にある当地の江戸時代における土地利用の変遷や、 地割を考えるうえで重要な遺構・遺物について報告する。

『天満本願寺跡発掘調査報告』VI

(A4/29/15)

900

310

　1990年代に見つかっていた石垣で護岸された屋敷地の北方で、 新たに見つかった石垣について報告する。 また、豊臣前期の2箇所の屋敷地についても報告する。

『天満本願寺跡発掘調査報告』VII

(A4/24/5)

900

310

　北区天満1丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、11〜12世紀ごろの土器のほか、周辺地域に集住していた魚商に関係すると思われる土錘が出土した。また、江戸時代には、土壙・溝などの遺構を検出した。調査地の南方ではこれまでに石垣を伴う大きな屋敷地が見つかっており、武家屋敷・港湾施設・天満本願寺関連施設など、その性格について様々な解釈がなされている。今回の調査ではそうした屋敷地の北限と、その北側の土地利用に関する新たな知見を得ることができた。

　堂島における初の本格的な考古学的調査の報告書である。調査地は堂島米市場の近辺に位置し、蔵屋敷が集中した地帯である。調査では、享保元年（1716）と推定される火災の痕跡を確認し、焼土の下から蔵屋敷の遺構が見つかった。また、その下層からは、大阪市内で初の陶器窯が発見された。製品と窯を築造した技術の系譜は京焼系統に連なり、河川交通を前提として、新地成立後の振興政策の一環で窯の誘致が行われたと考えられる。さらに、窯創業期のゴミ穴からスッポン遺体が出土した。堂島新地に設けられた茶屋・遊里の近辺でスッポンの消費が始まったことがわかる資料である。

『堂島蔵屋敷跡』II　
　　　　−福島1丁目所在遺跡発掘調査報告書−

(A4/84/16)

1500

360

　2004〜2005年に福島区の大阪大学病院跡地で行われた発掘調査の報告である。調査では、蔵屋敷成立以前から幕末の当地の変遷を明らかにし、往時の蔵屋敷の姿をよみがえらせる多数の近世陶磁器などの遺物が出土した。また、18世紀前葉の火災に伴うゴミ穴からは、小規模な金属加工作業が行われたことを示す遺物が出土した。

『堂島蔵屋敷跡』III　−堂島二丁目における堂島蔵屋敷跡Ｂ地点発掘調査報告書−

(A4/89/14)

1500

360

　2008〜2009年に北区の堂島小学校跡地で行われた、堂島蔵屋敷跡B地点における発掘調査の報告である。18世紀前半から幕末前後にかけての礎石建物や石垣などの多数の遺構が見つかり、開発当初に耕作地として利用されていた調査地が、次第に屋敷地として整備されていく開発の過程が明らかとなった。また、遺物についても、これまで報告例の少なかった幕末前後の陶磁器やミニチュア土製品などを多数掲載する。

『殿辻遺跡発掘調査報告書』

(A4/25/4)

900

215

　住吉区殿辻1丁目で行った殿辻遺跡の発掘調査の報告である｡調査では、中世の井戸､江戸時代の土採り穴や耕作に係わる溝などの遺構を検出した｡当遺跡の周辺では江戸時代以降、土採りが活発に行われたことが知られており､土採りによって広い範囲で遺跡が壊されたとみられるが、盛土の中からは飛鳥〜奈良時代の土器が多数出土した｡

『豊崎遺跡発掘調査報告』

(A4/54/14)

1300

310

　豊崎遺跡は淀川三角州に形成された天満砂州の北端部に位置する遺跡である。調査の結果、調査区全域にまたがる規模の大きな流路の存在を確認し、14C年代測定により7世紀後半〜8世紀に埋没したことが判明した。これは調査地から南西側に蛇行しながら流れていたと推定されている古代の中津川に相当する。
　流路埋没後、出土遺物や遺構から古代の9・10世紀には人間活動が開始され、以後継続し、緑釉陶器や瓦などの一般集落とは異なる遺物も出土する。中世後半の15・16世紀には水溜遺構とこれに付随する水路からなる水利施設が存在し、地下水位の高い淀川河口域に特徴的な農耕関連施設と考えられる。耕地開発は近世にも継続する。

　2012年度に行われた豊里遺跡の発掘調査の報告である。中世の溝と土壙、江戸時代の溝状遺構と自然流路が検出された。

　2012年度に行われた豊里遺跡B地点の発掘調査の報告である。江戸時代の畠と土壙が検出された。

『長居東２丁目所在遺跡発掘調査報告書』
−大阪府住宅供給公社による住宅建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/37/6)

900

310

　長居東2丁目所在遺跡は、南住吉遺跡と新堀城跡伝承地に隣接しており、 旧石器時代から近代までの遺物が出土している。 本書では、出土した 旧石器時代の石器資料、鋳造関係遺物、江戸時代から近代の土管を掲載する。

『中川遺跡発掘調査報告』

(A4/52/17)

1600

310

　2010年度に行われた生野区中川2丁目の中川遺跡の発掘調査の報告である。調査では、弥生時代中期以前には干潟が存在し、飛鳥時代頃までは河川が流れていた。その後、奈良時代には湿地帯が拡がっており、河川の氾濫による砂の堆積で湿地帯が埋没して平安時代末期頃には耕作地が拡がる場所へと変化したことがわかった。また、検出した中世の溝の中から瓦の破片が出土しており、寺院などの施設が近くにあった可能性がある。

『中崎町遺跡発掘調査報告』

(A4/31/7)

800

310

　2009年度に北区中崎町遺跡で行われた発掘調査の報告である。調査では、平安時代の火葬墓3基を検出したほか、弥生時代終末期から古墳時代前期にかけての土器が出土した。火葬墓のうち1基については讃岐地方から搬入された蔵骨器を使用しており、土器の流通形態について考察できる資料である。

　本遺跡は淀川の河口に近いデルタ上に位置する。
　古墳時代前期頃、遺跡には大規模な河川が通過しており、淀川の有力な支流であった中津川の旧流路とみられる。飛鳥〜奈良時代の頃、本遺跡では水田開発が始まる。
　平安末以後、この地の条里制地割に一致した耕地開発が進む。その背景に、12〜14世紀の史料に現れる荘園「富島庄」との関係が推測される。
　近世〜近代にかけても本遺跡は田園地帯であるが、調査地の南隣に中国街道が走る。江戸時代末〜明治初めの頃、街道に面するように掘立柱建物が現れるが、ふたたび田畑になり、その後、都市化にいたっている。

『中之島蔵屋敷跡発掘調査報告』

(A4/152/42)

2500

360

　北区中之島5丁目の高松藩蔵屋敷跡で行われた発掘調査の報告である。調査では、蔵屋敷成立以前から最終段階までの遺構・遺物を確認した。17世紀前葉には、礎石建物2棟・畠・水田の作土を確認し、その上面で17世紀後半の生活面を確認した。この時期には、高松藩蔵屋敷がすでに成立していたと考えられ、その初期段階と考えられる。18世紀前葉〜後葉には、礎石建ちの土蔵4棟、井戸・暗渠・竈・土壙など、蔵屋敷の中核をなす遺構を検出した。18世紀末〜19世紀初には、土蔵は廃絶し、大規模な建物は見られない。調査地東部で庭園関係遺構が検出され、付近に御殿などの建物が存在した可能性が高い。19世紀前葉には、細長い礎石建物などの遺構を検出した。19世紀中葉には、緡銭や胞衣を埋納した遺構など、蔵屋敷最終段階の遺構群を検出した。

　中之島蔵屋敷の調査で、徳川期の土蔵遺構を複数棟分検出し、その構造や配置、改修の過程を詳細に把握することができた。当地は８千石の矢島藩（秋田県由利本荘市）ほか比較的石高の低い藩が利用したとみられ、これまで発掘された有力大名の蔵屋敷に比べ、屋敷よりも蔵に重点を置いた構成となっている。今後、大名の性格や規模と蔵屋敷の構造を把握していく上で、興味深い視点を提供したといえよう。また、豊島石製の石製品や瓦の特徴等の考察を加えている。

『中之島蔵屋敷跡発掘調査報告』III
−中之島六丁目における建設工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書−

(A4/92/19)

1300

360

　本書は、中之島蔵屋敷跡において行われた発掘調査の成果を報告するものである。
　調査では17世紀中葉から1945年の大阪大空襲までを�T〜�X期に区分し、蔵屋敷の成立期から幕末までの遺構の変遷を把握し、さらには徳川期を踏襲した近代における敷地利用の状況も把握することができた。
　当地は�U期（17世紀後半〜18世紀初頭）に松江藩、�V期（18世紀初頭〜前半）に今治藩、�W期（18世紀後葉〜19世紀後葉）まで津山藩の蔵屋敷として利用され、�V期までは敷地境の西側が町屋として存続していたことを、絵図や文献記録と発掘調査の知見から復元することができた。
　また、近代にも津山藩蔵屋敷の米蔵が改修されつつも使用され続けており、�Xa期（近代前半）には耐酸容器や化学陶磁器が多く出土し、硫酸を原料とした晒粉の製造が当地で行われていたこと、�Xb期（近代後半）には既存の蔵に加えて新たに倉庫群が築かれて一帯が倉庫域となっていたことが判明した。
　このほか、遺構出土の植物遺体・脊椎動物遺体・貝類から、蔵屋敷や町屋での食生活や流通の復元を行った。17世紀中葉から1945年の大阪大空襲までを�T〜�X期に区分し、蔵屋敷の成立期から幕末までの遺構の変遷を把握し、さらには徳川期を踏襲した近代における敷地利用の状況も把握す

『中之島蔵屋敷跡発掘調査報告　北区中之島六丁目30−5他における建築工事に伴う中之島蔵屋敷跡発掘調査報告書』IV

(A4/94/18)

1400

360

　調査地は中之島西部に立地する。17世紀前葉に分厚い盛土を施す土地造成が行われ、その直後から蔵屋敷としての利用が開始された。以後、盛土による嵩上げは通算6度に及び、近代に至るまで蔵屋敷、または倉庫施設として使用され続けた。17世紀中葉には東西に敷地を分かつ石垣が設けられ、土地境界線は各時期を通じて踏襲されていた。文献や絵図資料との対比から、最初期は熊本藩蔵屋敷に関係する可能性があり、境界設置後の東部は熊本藩、西部は対馬藩・杵築藩の蔵屋敷との関係が考えられた。

　2014年に市立今宮中学校校庭で行われた発掘調査の報告書である。古墳時代以前に汀線付近の環境で海成砂礫層が形成されたことが確認でき、古代以降に耕作地として開発が進んだ状況がわかった。

　長橋遺跡は上町台地の西縁に沿って延びる西大阪平野の砂州に立地する。今回の調査では、古墳時代中期以降に形成された海浜砂層や、江戸時代以降の耕作に係る遺構が発見された。

『長原遺跡発掘調査報告(改訂版)』　
−大阪市交通局地下鉄谷町線延長工事、第31・32工区の発掘調査−

(A4/224/150)

8000

着払

　昭和49年、地下鉄工事に伴って発掘された長原遺跡の約1年にわたる調査の報告である。縄文から奈良時代にいたる遺構・遺物について報告する。

『長原遺跡発掘調査報告』II　−大阪市高速電気軌道第2号線延長工事に伴う発掘調査報告書−

(B5/322/152)

9000

着払

　『長原遺跡発掘調査報告』に引続き、2年余りをかけて行なわれた地下鉄工事に伴う調査の報告である。 大阪市内初の旧石器をはじめ、縄文時代晩期の土器・石器の詳細な研究、中世の長原遺跡についても報告する。

『長原遺跡発掘調査報告』III　−(仮称)大阪市立第8養護学校建設に伴う発掘調査報告書−

(B5/248/115)

6000

着払

　縄文時代晩期〜弥生時代前期の土器棺墓、飛鳥時代の水田、平安時代前・中期の集落が見つかった発掘調査の報告である。

　平野区長吉長原2丁目での市営長吉住宅建設に伴う発掘調査の報告である。本書は前編で、弥生時代の遺構・遺物、高廻り1・2号墳について報告する。また、弥生時代の群集土壙の性格や、出土埴輪の詳細な検討、高廻り1・2号墳の編年的位置付けについて収録する。

『長原遺跡発掘調査報告』V　−市営長吉住宅建設に伴う発掘調査報告書　後編−

(B5/118/49)

2400

360

　『長原遺跡発掘調査報告』IVの後編である。飛鳥〜平安時代初期の水田と平安時代の集落に係わる遺構・遺物について報告する。 層位的に明らかになった水田の変遷、ならびに本遺構における平安時代の土器編年と集落の移り変わりについて検討を加えた。 また古墳時代以前の遺物の補遺も収録する。

『長原遺跡発掘調査報告』VI　
−大和川高規格堤防整備事業長吉瓜破地区埋蔵文化財発掘調査報告書−

(B5/46/20)

800

310

　長原遺跡南西部で発見された飛鳥・奈良時代の建物群について報告する。また、古墳時代中期の井戸についての報告も収録する。

　長原遺跡東南地区では、市内最古となる弥生時代中期前葉の水田、古墳時代中期の古墳群や大量の韓式系土器・土師器が出土した井戸をはじめ、後期旧石器〜飛鳥時代までの遺構・遺物を報告する。また、北地区では、弥生時代後期の方形周溝墓や庄内期の土器群、鉄刀や鉄鏃を副葬した古墳時代中期の古墳などを報告する。喜連東遺跡は、飛鳥〜室町時代にかけて発展する集落遺跡で、後期旧石器〜江戸時代までの遺構・遺物を報告する。室町時代の墳墓堂跡や、奈良〜室町時代の大量の瓦が注目される。

『長原遺跡発掘調査報告』VIII　
−市営長吉長原住宅建設に伴う発掘調査報告書−

(A4/119/41)

1400

360

　平成11年度に行われた市営住宅建設に伴う発掘調査の報告である。 長原遺跡東地区では、縄文時代の石器製作址のほか、 弥生時代中期後半・後期前半・終末期〜古墳時代初頭・古墳時代中期の竪穴住居･掘立柱建物･井戸などの集落跡、 飛鳥時代の畠などを検出した。 弥生時代・古墳時代の一括出土土器、加耶系･百済系を含む朝鮮半島三国時代の土器の系譜を引く土器についても報告する。

『長原遺跡発掘調査報告』IX　−市営長吉長原東第2住宅建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/82/31)

1400

360

　2000年度に長原遺跡東地区で行われた発掘調査の報告である。 後期旧石器時代末の石器群のほか、古墳時代中期初頭の溝から出土した初期須恵器･朝鮮三国時代の土器の系譜を引く土器･木製品など、 旧石器時代から江戸時代までの遺構･遺物を掲載する。また、河内地域における古墳時代中期の土師器編年についての考察も収録する。

『長原遺跡発掘調査報告』X　−市営長吉長原東第2住宅第3期建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/42/9)

1100

310

　長原遺跡東部地区で行った発掘調査報告である。弥生時代の自然流路などを検出した。 また、発掘成果と関連して旧六反村に残る中近世文書の考察も収録する。

『長原遺跡発掘調査報告』XI　−都市計画道路久宝寺太田線建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/69/20)

1300

310

　長原遺跡東北地区で実施した発掘調査の報告である。 布留式新相の土器群が出土した盛土遺構、自然堤防上の飛鳥〜平安時代にかけての集落に係わる遺構や、 そこから出土した銅製巡方などの遺物について報告する。

　弥生〜古墳時代の集落の中心部に当たる東地区で行われた発掘調査の報告である。 弥生時代では前期の土器棺、中期後葉の青銅器生産を推測させる遺物群や有鉤銅釧の出土が注目される。 庄内期は方形・円形周溝墓、粘土を用いた特異な溝造の木棺墓、古墳時代前期は粘土槨を有する方墳を検出した。 古墳時代中期は鍛冶工房であることが判明した区画施設のほか、韓式系土器・初期須恵器・赤褐色ガラス玉・鋳造斧形品などの渡来系遺物や、 玉作関連遺物の出土が注目される。

　長原遺跡の東南地区で行われた発掘調査の報告である。地層の堆積状況を詳細に検討し、合わせて長原遺跡東南部の地層堆積環境の変遷と比較し、調査地周辺一帯の古環境復元を行った。

『長原遺跡発掘調査報告』XIV　
−平成16年度大阪市住宅局による長原西住宅建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/36/15)

900

310

　長原遺跡西南地区で市営住宅の建設に伴って実施した発掘調査の報告である。 縄文時代の石器、古墳時代中期の土器や家形埴輪をはじめ、 古墳時代中期から奈良時代の溝群、飛鳥時代の掘立柱建物などについて報告した。 奈良時代の大溝の機能やその意義、調査地域の古代の灌漑システムについても考察する。

『長原遺跡発掘調査報告』XV

(A4/296/45)

3700

着払

　1979〜95年度にかけて行われた計104件の長原遺跡の発掘調査を報告する。 主な成果としては、弥生時代の方形周溝墓、古墳時代の形象埴輪を多数持つ古墳や、竪穴住居・掘立柱建物で構成される集落、 飛鳥〜奈良時代の水田、平安時代の集落や土地争議に関わる木簡などが挙げられる。また、長原古墳群の集成も収録する。

『長原遺跡発掘調査報告』XVI

(A4/105/26)

1400

360

　2002年度と2006年度に行った長原遺跡の発掘調査報告である。 2万8千年以上前に遡ることが確実な後期旧石器時代の石器遺物や、 平安時代以降の水田や畠、平安時代前期の建物などについて報告する。

『長原遺跡発掘調査報告』XVII

(A4/166/39)

1100

360

　長原遺跡の北東部で実施したＮＧ03-5・06-3・4次発掘調査の報告である。 弥生時代中期の方形周溝墓、弥生時代後期の竪穴住居、古墳時代中期の居住域やウマの埋葬などを報告する。 注目される出土遺物は、方形周溝墓出土の焼成後穿孔を施した土器や、焼失した竪穴住居から出土したコメが貯蔵された壺、 多数の韓式系土器などがある。

『長原遺跡発掘調査報告』XVIII

(A4/136/27)

1900

360

　長原遺跡東地区で行われた発掘調査の報告である。縄文時代草創期の石器遺物集中部と飛鳥〜奈良時代にかけての遺構・遺物を検出した。特に、縄文時代草創期の石器遺物集中部は、出土した剥片の分析から石器製作址であることが明らかとなった。長原遺跡では2例目の発見となる。また、飛鳥〜奈良時代にかけての水田畦畔を検出した。条里制と同じような方格地割にもとづいて区画・施行された水田が、長原遺跡では奈良時代までに出現していることが改めて明らかとなった。

『長原遺跡発掘調査報告』XIX

(A4/88/33)

1600

360

長原遺跡東北地区で行われた発掘調査の報告である。縄文時代晩期後葉の土器、弥生時代中期後葉の石器、弥生時代後期末?古墳時代中期前葉にかけての遺構・遺物などを報告する。特に井戸から出土した弥生時代後期末の土器群は、共伴した吉備・讃岐・北近畿の土器とともに長原遺跡の標準資料になった。また、「烏帽子」形の畿内型土製支脚は長原遺跡初出であり、これを含む庄内期の河内型庄内式甕と布留期の甕が共伴する土器群は、河内地域の古墳時代前期前葉の標準資料となった。このほか、古墳時代中期前葉の井戸出土の土器類や、三国時代の加耶および百済地域の搬入品を含む陶質土器、韓式系土器も注目される。これらの土器は調査地域に居住した渡来人の出自や当時の朝鮮半島と倭人の交流状況を明らかにするうえで重要である。

『長原遺跡発掘調査報告』XX

(A4/24/8)

700

310

　平野区長吉長原東2丁目(長原遺跡東地区)で2009年度に行った発掘調査の報告である。調査では古墳時代以前から奈良時代にかけての遺構・遺物を検出した。飛鳥〜奈良時代の水田遺構などを検出した。飛鳥時代前期の水田畦畔は地形に沿ったものであるが、飛鳥時代後期の水田は方位に沿った畦畔が築かれ、条里制と同様な方格地割に基づいた水田が奈良時代までに出現していることがわかった。

『長原遺跡発掘調査報告』第21冊

(A4/28/9)

800

310

　長原遺跡の西北縁辺部、喜連東遺跡の東北縁辺部に位置する平野区長吉出戸１丁目で行われた発掘調査の報告である。古代・中世の流路、江戸時代の耕作溝を検出した。出土遺物の中には古墳時代の土器や、比較的残りが良い古代や中世の土器が見られ、それぞれの時期の集落や墓域が調査地からさほど離れていないところにあったと推察できる。

『長原遺跡発掘調査報告』第22冊

(A4/41/8)

600

310

　2010年度に行った長原遺跡東北地区での発掘調査の報告である。古墳時代後期〜飛鳥時代の自然流路、平安時代の溝および自然流路、鎌倉〜江戸時代の水田・畠を検出した。また、自然流路内から古墳時代中期〜鎌倉時代の土師器・須恵器・黒色土器・瓦器など当地域に存在したと推定される集落に関する遺物も出土した。

『長原遺跡発掘調査報告』第23冊

(A4/35/15)

1000

310

　2010年度に行った長原遺跡中央地区における発掘調査の報告である。古墳時代中期の落込み、飛鳥〜奈良時代の水田、奈良時代の火葬墓、鎌倉〜室町時代の水田・溝、江戸時代の水田を検出した。奈良時代の火葬墓は長原遺跡における火葬の導入の時期や蔵骨器を伴う火葬墓の構造を明らかにする上で重要な資料となった。

『長原遺跡発掘調査報告』第24冊

(A4/85/32)

1200

360

　平野区長吉長原東三丁目における発掘調査の報告である。弥生時代の柱穴や2基の古墳、飛鳥時代の掘立柱建物・溝、飛鳥〜奈良時代の水田、平安時代前期の掘立柱建物群や多くの柱穴、井戸、土器埋納遺構などの遺構を検出した。平安時代前期の屋敷地から出土したもののうち、大阪市内初出となる中国長沙窯系褐釉陶器や、越州窯系青磁碗・緑釉陶器・灰釉陶器・銅製巡方といった当時の都である平安京との強い関係を示すものが注目される。

『長原遺跡発掘調査報告』第25冊

(A4/22/6)

600

215

　平野区長吉六反１丁目における発掘調査の報告である。調査地は弥生時代には排水不良な湿地環境であり、積極的な人間活動は認められなかったが、古墳時代前期になって水田化された。また、古墳時代後期の河川氾濫により低地が埋り、奈良時代後半には耕地化されたことが判明した。

『長原遺跡発掘調査報告』第26冊

(A4/42/17)

1500

310

　2011年度に行った長原遺跡西南地区における発掘調査の報告である。「馬池谷」の東半部を検出し、古墳時代中期の溝群や飛鳥〜奈良時代の水田、それぞれの時期に谷底付近に構築された堤防状の大畦を検出した。

『長原遺跡発掘調査報告』第27冊

(A4/61/14)

1400

310

　平野区長吉長原東3丁目における発掘調査の報告である。長原式土器がまとまって出土した縄文時代の谷や、谷内に形成された弥生時代前期末〜中期初頭の水田を検出した。また、調査区全域に展開する飛鳥〜奈良時代の水田や、平安時代の水田・掘立柱建物が検出され、集落の形成が認められた。

『長原遺跡発掘調査報告』第28冊

(A4/146/35)

2000

360

　本書では、平野区長吉出戸8丁目における発掘調査の成果を報告する。弥生時代中期後葉の火災にあった竪穴建物や井戸・大型の土壙・溝・柱穴・小穴、弥生時代後期の大型の方形周溝墓、古墳時代中期の小方墳を検出した。古墳時代後期以降は、調査地一帯は耕作地となっていたようで、奈良時代には、敷葉工法で築かれた土手を検出した。また、調査地では複数回にわたる地震の痕跡も確認された。

『長原遺跡発掘調査報告』第29冊

(A4/90/36)

1900

360

長原遺跡東北地区における29件の発掘調査について報告する。堤防を伴う平安時代流路、鎌倉?江戸時代の水田や溝などを検出した。このうち、江戸時代の流路は、調査地域の地籍図にも形跡を留める東除川や六反地域を南東から北西に流れる流路の位置を示す重要な成果となった。このほか、古墳時代中期の祭祀の場と推定されるミニチュア壺と滑石製臼玉が出土したほか、近隣に玉作り工房が存在することを示すガラス小玉、滑石製臼玉、碧玉製管玉未製品や緑色凝灰岩の剥片が出土した。さらに、弥生時代中期?後期の溝・土壙・落込みなど、出戸自然堤防に営まれた集落の一部を確認した。

　長原遺跡東北部で行った発掘調査で、中世から近世にかけての土地利用に関する情報を報告している。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』I　
−1981年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/132/38)

3000

360

　古墳時代中・後期に形成された長原古墳群の発掘調査の報告である。 武人形埴輪をはじめとする多数の埴輪や初期須恵器が出土した15基の古墳や、飛鳥〜奈良時代の水田址、平安時代の遺構・遺物について収録する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』II　
−1982年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/318/92)

4000

着払

　18基の古墳と古墳時代以降の集落、水田跡などの発掘調査について報告する。 長原古墳群出現期にあたる一ヶ塚古墳の円筒・壷形・囲形・家形など豊富な埴輪や、 小型方墳とその出土遺物について報告する。巻末には円筒埴輪、形象埴輪、飛鳥〜奈良時代の水田遺構などの考察5編を収録した。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』III　
−1983年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/204/68)

3000

360

　長原古墳群を造営した人々の集落についての初の発掘調査報告書である。古墳・奈良・平安時代の掘立柱建物34棟、 竪穴住居1基、井戸3基などの他、多数の土器を報告する。 巻末には長原遺跡の層位学的な考察や古墳時代後半期の土器についての考察を収録する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』IV　−1984年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/166/93)

3000

360

　瓜破遺跡東南部で発見された飛鳥時代の建物・井戸、長原遺跡の古墳・建物・水田などの発掘調査報告である。 長原・瓜破遺跡における飛鳥時代土器の様相と製塩土器について検討している。　

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』V　
−1985年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/307/87)

3000

着払

　古墳12基・掘立柱建物13棟・竪穴住居6棟など古墳時代中・後期の遺構と各種の出土遺物を報告する。また、 弥生時代中期初頭の水田についても報告する。巻末では石鏃の形態変遷、古墳時代後半期の土器、馬形埴輪、金属製容器の蛍光Ｘ線分析に関する考察を収める。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』VI　
−1986年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/295/84)

3000

着払

　古墳時代中・後期の古墳18基、掘立柱建物4棟、竪穴住居5棟を検出し、土器製作に係わる当て具・叩き板のほか長原古墳群2例目の武人埴輪などが出土した。 また、巻末では長原・瓜破遺跡の古墳時代集落、算盤玉形紡錘車、飛鳥〜平安時代の土器埋納遺構についての考察を行う。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』VII　
−1987年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/132/54)

1500

360

　1987年度の瓜破遺跡東南部と長原遺跡東南部の発掘調査の報告である。 瓜破遺跡では、7世紀前半の官衙的な建物群の北東部を調査した。 長原遺跡では、縄文時代晩期の開析谷と長原式土器の胎土について、弥生時代前〜中期の灌漑用水路、長原古墳群開始期を考える資料となる176号墳をはじめ7基の古墳について報告する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』VIII　
−1988年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/422/95)

7000

着払

　1988年度の区画整理事業に伴う20件の発掘調査について報告する。横形剥片剥離技術を主体とした石器の密集部、 大型で多数の土器を伴う2基の方形周溝墓、 周濠外堤に円筒埴輪が原位置をとどめていた帆立貝形の南口古墳などを報告する。

　1989年度の土地区画整理事業に伴う発掘調査の報告である。小型のナイフ形石器を主として製作した石器製作址と考えられる後期旧石器時代後半の石器集中部、縄文時代草創期かと考えられる石器群について報告する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』X　
−1990年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/100/43)

1500

360

　1990年度に実施した発掘調査の報告である。長原遺跡では、後期旧石器時代の石器集中部、縄文時代晩期の開析谷、弥生時代の導水路などを検出した。 開析谷からは長原式土器とともに未製品を含む石鏃・石錐と多量のクサビが見つかり、縄文時代晩期の石器生産の実態を知ることのできる良好な資料である。瓜破遺跡では、中〜近世の溝・井戸を検出した。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XI　
−1991年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/147/55)

1700

360

　1991年度に実施した発掘調査の報告である。長原遺跡では、旧石器時代の石器群を伴う焼土壙、一ケ塚古墳、5〜6世紀にかけて築造された方墳8基、飛鳥〜奈良時代の水田、東除川について調査した。一ケ塚古墳は直径約50ｍの造出し付き円墳であることが判明した。瓜破遺跡では飛鳥〜奈良時代の溝や土壙が見つかった。また、鞆形埴輪に関する考察もあわせて収録する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XII　
−1992年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/143/36)

1000

360

　1992年度に実施した区画整理事業施行に伴う長原・瓜破遺跡の発掘調査報告書である。 後期旧石器時代から縄文時代初頭の石器製作址で出土した接合資料の検討や、 縄文時代晩期終末の2点の石斧柄の報告と西日本出土の当該期の斧柄の集成・考察を収録する。 また、1986年度に瓜破遺跡で発掘された飛鳥時代の官衙的建物群の関連遺構についても報告する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XIII　
−1993年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/161/49)

1500

360

　1993年度に実施した区画整理事業に伴う発掘調査の報告である。一ケ塚古墳・塚ノ本古墳をはじめとして、後期旧石器時代から江戸時代にいたる調査成果を収録する。一ケ塚古墳は、古墳の規模が明らかになるとともに、周濠から出土した多数の埴輪が出土した。特に、大型の高殿風の入母屋家形埴輪は注目される。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XIV　
−1994年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/146/50)

1700

360

　長原古墳群における最古・最大級の古墳である一ヶ塚古墳の発掘調査と、周濠より出土した埴輪の検討成果について報告する。 また、平安時代の土器埋納遺構や、 長原遺跡と瓜破遺跡の境付近にある「馬池谷」から出土した縄文時代後期の土器、 さらには、中期旧石器時代にさかのぼるナウマンゾウの足跡化石の調査成果も収録する。

　1995年度に実施した区画整理事業に伴う8件の発掘調査の報告書である。旧石器時代の国府型ナイフ形石器、古墳〜飛鳥時代を中心とする 掘立柱建物跡、 関東系の和泉式土器や朝鮮半島三国時代の系譜を引く土器を含む古墳時代の出土土器資料、 平安時代の瑞花双鴛鴦文八稜鏡、奈良時代の木簡などについて報告する。 また、飛鳥時代の牛馬骨と、これまでに出土した木製品の集成･考察も収録する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XVI　
−1996年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/210/53)

2100

360

　1996年度に実施した区画整理事業に伴う6件の発掘調査の報告である。 古墳時代の集落遺構や平安時代の火葬塚･火葬墓などの埋葬遺構を検出し、朝鮮半島三国時代の系譜を引く土器やナウマンゾウの臼歯などが出土した。 また、遺跡西部を縦断する埋没谷周辺での土地利用の変化および古環境の変遷を明らかにし、長原遺跡の標準層序を増補･改訂した。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XVII　
−1997年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/129/36)

1300

360

　1997年度に実施した区画整理事業に伴う7件の発掘調査の報告である。 溝･柵で区分された古墳時代中期の集落跡や「馬池谷」西部に拡がる飛鳥時代の建物群、 長原207号墳などを検出した。遺物は奈良時代の絵馬やほぼ完全な形で見つかった柄付きの鉄鎌、 朝鮮半島三国時代の系譜を引く土器などが出土した。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XVIII　
−1998年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/40/14)

900

310

　瓜破遺跡東南地区では、飛鳥時代建物群の一部を明らかにし、 長原遺跡西南地区では、古墳時代の掘立柱建物を検出した。また、江戸時代の開削とされる溜池「馬池」の調査結果も収録する。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XIX　
−1999年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/60/20)

1200

310

　長原遺跡西南地区での発掘調査の報告である。 古墳時代中期の古墳１基(長原212号墳)、古墳〜平安時代の集落の一部を検出し、 馬池の堤に初めて発掘のメスを入れた。長原村の庄屋に伝わる村絵図を基に、近世の長原村と馬池の歴史的景観の変遷を考察した。

『長原・瓜破遺跡発掘調査報告』XX　
−2000年度大阪市長吉瓜破地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(B5/82/23)

1300

310

　長原遺跡西南地区での発掘調査の報告である。 飛鳥時代の柱穴や中世の馬池の樋口と灌漑用水路などを検出した。灌漑体系の一大変革である新大和川の開鑿事業(1704年)前後の景観変遷を、発掘成果に文献資料を交えて考察する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』I　
−1995年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/74/37)

1800

360

　長原遺跡東部地区の土地区画整理事業に伴う発掘調査の報告である。瓜破台地の北東縁辺で発掘された、 沖積層に埋没した古墳時代のしがらみや、古代の掘立柱建物群などを報告する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』II　
−1996年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/135/43)

1400

360

　長原遺跡東部の沖積平野で行われた3件の発掘調査の報告である。 古墳時代初頭の水田、飛鳥〜平安時代の集落などが発見された。また、 同地域の地層の基本層序を提示し、これをもとに古墳時代中期〜奈良時代の地形変化と土地開発の関係に関する考察をした。 このほか、飛鳥時代の牛骨埋納土壙に関する考察も収録する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』III　
−1997年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/265/59)

2800

着払

　1997年に長原遺跡東北地区で行われた5件の発掘調査の報告である。 後期旧石器時代後半のナイフ形石器を主体とする石器群についての報告では瀬戸内技法とともに石刃技法による接合資料が豊富に収録され、 近畿地方の旧石器編年や石器製作技術を検討するための基準資料として注目される。 このほか、古墳時代中期の木製品、飛鳥時代の掘立柱建物･竪穴遺構など各時代の遺構･遺物を報告する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』IV　
−1998年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/122/28)

1300

360

　1998年度に平野区長原遺跡東部地区で行った2件の発掘調査の報告である。 古墳時代中期の土壇状遺構からは須恵器･土師器･玉類が大量に出土し、 これらは須恵器出現直後の土師器の様相を示す良好な一括資料である。 また、後期旧石器時代から縄文時代にかけて堆積した沖積層を分析し、縄文海進期の前後における河内平野のようすを考察する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』V　
−1999年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/136/36)

1700

360

　1999年度に長原遺跡東部地区で実施した2件の発掘調査の報告である。 大阪市内では数少ない縄文時代早期の遺構と押型文土器･撚糸文土器を報告する。また、 後期旧石器時代の小型ナイフ形石器を伴う石器集中部、縄文時代中期の船元式土器と土壙･周溝状遺構、弥生〜古墳時代の水田も報告する。考察では、縄文時代早期土器の編年的位置付け、縄文時代前期から古墳時代にかけての古環境の変化や地形変遷を収録する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』VI　
−2000年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/112/33)

1500

360

　2000年度に行われた土地区画整理事業に伴う長原遺跡東部地区の発掘調査の報告である。古墳時代の盛土遺構とそれに伴う多量の土器、瓦・銅銭などの古代の遺物、平安時代流路から出土した人形(ひとがた)を報告する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』VII　
−2001年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/77/39)

2000

360

　2001年度に実施した長吉東部地区土地区画整理事業に伴う発掘調査の報告である。 奈良時代の自然流路から出土した墨画土器、ミニチュア土器を主体とする多数の土器類を報告するとともに、同時に出土した膨大な数の牛馬骨について考察を加える。 牛馬骨は形質的特徴を復元できるものが多く、古代の長原遺跡における牛馬利用を知ることができる貴重な資料である。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』VIII　
−2002年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/118/23)

1400

360

　2002年度に行われた土地区画整理事業に伴う発掘調査の報告である。 堅穴住居を始めとする弥生時代の遺構群、古墳時代の溝群、飛鳥時代の流路に伴う土器群などについて報告する。 また、古墳時代の溝群や、多量の有用植物種実が出土した弥生時代の井戸の自然科学分析によリ、 当時期の植物利用や栽培のあり方について考察を加えている。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』IX　
−2003年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/51/15)

1600

310

　2003年度の発掘調査の報告である。 弥生時代から古墳時代初頭の溝、古墳〜平安時代の自然流路とそこから出土した多くの土師器･須恵器のほか、 井戸・溝・土壙など集落に関わる遺構を検出した。 平安時代以後は、流路のあとは湿地になっており、室町時代以後は耕地として利用され、井戸･小溝群などが検出された。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』X　
−2004年度大阪市長吉東部地区土地区画整理事業施行に伴う発掘調査報告書−

(A4/57/31)

700

360

　2004年度に行った発掘調査の報告である。弥生時代・古墳時代の溝や土壙、奈良時代の流路などを検出し、 弥生〜古墳時代の土器、奈良時代の人面墨画土器などが出土した。 注目すべきは「十五束」と書かれた木簡削り屑で、律令期における畿内の農村の様相を示す貴重な資料が含まれる。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』XI

(A4/72/37)

800

360

　2005〜2006年度にかけて行われた長原遺跡東北地区の2件の発掘調査の報告である。 縄文時代晩期から弥生時代前期のまとまった土器群や弥生時代後期の溝、古墳時代中期および奈良時代の自然流路から出土した土器、木製品などを収録する。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』XII

(A4/40/11)

1200

310

　長原遺跡東部地区で平成18年度に行われた発掘調査の報告である。平安時代後期の水田とその鋤溝、足跡などが検出された。足跡に関しては、人のみならず、偶蹄目(ウシやウマ)のものもあり、牛馬耕が行われていたことがわかる。このほか、洪水の砂の中から古墳時代中期の土器や舟形木製品が出土した。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』XIII

(A4/55/17)

1600

310

　長原遺跡東部地区にて2007年度に行った発掘調査の報告である。弥生時代中期後半の掘立柱建物・土壙などを検出した。奈良時代の自然流路からは人面墨書土器やウシ・ウマなどの動物遺体、和同開珎など水辺祭祀を思わせる遺物が多量に出土した。平安時代以降は耕作地として利用されたことがわかった。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』XIV

(A4/87/23)

1400

360

　長原遺跡において2008年度に行われた3件の発掘調査報告である。弥生時代では、中期の溝のほか、後期の竪穴建物跡・土壙・溝を確認し、集落の一端に当ることがわかった。古墳時代では前期の水田のほか、中期の流路を検出した。また祭祀に伴うと推定される中期の土器・製塩土器が一括出土した。奈良時代では過去の調査で検出されていた自然流路の一部を検出した。平安時代以降は水田やそれに伴う耕作痕跡などが検出され、耕作域として利用されていたことが判明した。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』XV

(A4/71/29)

1700

360

　2009年度に実施した3件の発掘調査の報告である。後期旧石器時代の可能性のあるサヌカイトの剥片、縄文時代後期の土器や石鏃が出土した。弥生時代では、前期および中期の溝や小穴を検出し、西方の集落域と当地域の関わりについての資料を得た。飛鳥時代の流路から出土した削出しのある柱状木製品は、長原遺跡初出で、大阪府下でも珍しい事例であり、当時の祭祀や精神生活を究明する上で重要な資料となった。室町時代の濠の可能性の高い溝や、柱穴・井戸・土壙などは、今後六反地域の中世集落の実態を明らかにするうえで基礎となる資料である。また、江戸時代初頭の肥前陶器小皿や中国産青花皿を埋納した土壙は長原遺跡では初出である。

『長原遺跡東部地区発掘調査報告』XVI

(A4/95/50)

1200

360

　長原遺跡東部地区における3件の発掘調査の報告である。NG10−2次調査では、平安時代中〜後期の水田や、室町〜江戸時代の集落に係わる多くの遺構・遺物を確認した。区画に関わる大規模な溝や、墳墓堂遺構は当地域では初めての発見である。また、出土した中国産青花碗や瀬戸美濃焼茶入は、大阪市内で最古級のもので注目される。NG10−5次調査では、弥生時代中期後葉、終末（庄内期）〜古墳時代中期の遺構・遺物について報告する。古墳時代中期にかけては耕作地へと変化するが、古墳時代後期〜飛鳥時代は大規模な洪水に見舞われ、湿地となり、飛鳥〜平安時代初期には井戸が設けられた。墨書土器や銅製の�ﾎ具などの遺物が注目される。NG10−6次調査では、弥生時代後期前半の溝、飛鳥・平安時代前〜中期の自然河川を検出した。

　2011年に北区長柄西1丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、古代以前から近代まで、連綿と水田や畠地として利用されていたようすが窺えた。また、埴輪や土師器、須恵器片などが出土しており、周辺の長柄古墳群や、長柄銅鐸、国分寺の存在など解明されていない歴史の手がかりになると思われる。

『難波京朱雀大路跡発掘調査報告』
−天王寺商業高校にける発掘調査報告書−

(A4/58/15)

1400

310

　2009・2010年度に天王寺区烏ケ辻町2丁目で行われた発掘調査の報告で、難波京朱雀大路跡についての初の本格的な調査報告書である。調査では、上町台地の開析谷である真法院谷の支谷を検出し、奈良時代に谷を埋めていることがわかった。ほかに、古代の井戸、中世の井戸と耕作地、江戸時代の土壙・井戸・土採り穴などを検出した。朱雀大路に関しては、真法院谷の埋土の状況からその開発時期を考察した。

『難波大道跡発掘調査報告』−(仮称)阿倍野学園建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/50/9)

1200

310

　2006年に阿倍野区美章園3丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、古代以前の柱穴の可能性がある土壙や、中世の区画溝や耕作に係わる溝群、江戸時代の井戸や溜池が見つかった。また、古代の基幹道路とされる難波大道をめぐって、市内で実施された難波大道跡の調査成果を集成するとともに、研究史をまとめている。

　2012年の浪速区浪速西3丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、18世紀末〜19世紀前葉の畝間を検出した。今回は近世以前の遺構は認められなかったが、渡辺村の中心的な居住域に近い場所であることから、見つかった遺構群も近世渡辺村の成立後、村落経営が営まれる過程で形成されたものとみられる。

　浪速東遺跡は難波浜堤平野（難波砂堆）の西部、大阪海岸低地に立地した遺跡である。本遺跡は弥生時代末〜古墳時代前期には浜堤の内側の潟湖〜塩湿地の中にあり、まだ離水していなかった。その浜堤は、難波浜堤平野をつくる浜堤列の最外側に位置し、旧難波村から北津守に至るもので、古墳時代前期には形成され、浜堤内側の潟湖〜塩湿地は、古代末頃には概ね離水した。
　中世中頃に浜堤に直交するように水路（SD501）が掘削された。SD501は当該地の排水を目的とし、横断した浜堤には水門があったと推測される。SD501は度々浚渫されたが、埋土の下部（第6di−ii層）には、?（こけら）経が捨てられていた。この?（こけら）経はスギの薄板製の経木に「仏説阿弥陀経」を写経した一部である。その特徴は15世紀半ば以前の古い形式をもつ。
　SD501が埋まった中世末頃には、当該地一帯は畠として耕起された。畠の畝方向はSD501とほぼ一致する。近世・近代も、畠が継続して耕起され続けた。向きや区画も前代と基本的に変化はなかった。その後の都市化への変化は、近代の井戸の埋土により推定される。

　　「報告篇」

(B5/244/219)

7000

着払

　阪神高速道路東大阪線の工事に伴って調査した前・後期難波宮中心部、 飛鳥時代の難波宮下層遺跡、豊臣氏大坂城の遺構・遺物の報告書、 飛鳥時代の土師器・須恵器、桃山時代の瓦・陶磁器の資料を多数収める。

　　「論考篇」

(B5/330)

5000

着払

　古代の難波宮に関する論考を中心に、福山敏男・藤沢一夫・直木孝次郎・岸俊男ら１８氏の論文を収める。

　　「史料篇」

(B5/324)

3500

着払

　直木孝次郎監修。９世紀末までの編年史料を中心に、古代難波関係史料を網羅。

『難波宮址の研究』第八
−国立大阪病院更新築工事に伴う調査−

(B5/247/162)

5000

着払

　国立大阪病院更新築工事に伴って行われた難波宮跡、豊臣・徳川氏大坂城跡の発掘調査報告書である。 飛鳥時代の土師器・須恵器、大坂城関係の瓦・陶磁器などの出土資料を多数収める。

『難波宮址の研究』第九

(B5/416/355)

12000

着払

　大阪市中央体育館地域における発掘調査報告書である。 5世紀の大型建物群、6〜７世紀前半の建物群、前期難波宮の倉庫群から豊臣・徳川氏大坂城期の屋敷まで長期にわたる遺構や遺物について豊富に収録している。

　難波宮中心部の発掘調査報告である。前期難波宮の内裏南門、後期難波宮大極殿院の遺構・遺物について報告している。

　1991〜97年度に大阪市中央体育館跡地において行った発掘調査の報告書であり、1992年刊行の『難波宮址の研究　第九』の続編である。 もっとも注目される成果は、北西部の谷に築かれた前期難波宮の水利施設の発見である。 巨石を用いてつくられており、規模は飛鳥地域の例と比べても最大級である。 出土した多量の土器や、木簡を含む木製品などの遺物は、前期難波宮の年代や遺構の性格を知る上で重要である。 また、後期難波宮の葡萄唐草文鴟尾片、豊臣後期や江戸時代の陶磁器・土器の編年研究の基準資料となる良好な一括資料などを報告する。

　1979年度から95年度にかけて行われた50件の調査成果を収録している。
　宮殿東方地域では｢東方官衙｣の建物群、 宮殿南方地域では前期難波宮の宮城南門(「朱雀門」)や東西の朝集殿、宮殿西方地域では前期難波宮造営時の整地層とそこから出土した百済土器を含む多量の土器を報告する。
　　また、近年の調査データを集成しての上町台地北端の地形復元と土地開発についての考察、難波地域出土の新羅･百済土器の検討や、宮城南門の建築学的検討も収める。

　史跡難波宮跡の公園整備に伴う1981年度から2003年度までの発掘調査成果を収録している。 前期難波宮の朝堂院・八角殿院、後期難波宮の朝堂院・五間門区画における建物遺構などを報告する。

　2004年度に難波宮朝堂院域東側で行われた発掘調査の報告である。 古墳時代中期から前期難波宮造営にかけて埋没した谷から出土した多くの土器や、勾玉形飾金具・ガラス小玉・滑石製品・木簡等を報告する。 また、花粉分析・樹種同定の結果を収録し、自然科学の立場から難波宮成立に至る環境の変化について探究する。 そのほか、後期難波宮期、豊臣期大坂城期の遺構群についても報告し、難波宮近辺で出土した飛鳥時代の瓦の集成も収録する。

『難波宮址の研究』第十五

(A4/92/31)

1700

360

　難波宮東方官衙地域の発掘調査報告である。前期難波宮の官衙遺構と、後期難波宮期の新たに発見された五間門や、石敷をもち回廊を巡らせた区画遺構、豊臣氏大坂城の武家屋敷に関する調査報告を収録している。 東方官衙の年代と後期難波宮の東南新宮の所在について新見解を示した。

『難波宮址の研究』第十六

(A4/122/21)

1800

360

　史跡難波宮跡公園に東接する法円坂住宅敷地内で行った発掘調査の報告である。前期難波宮の東方官衙施設の一部（柱穴群）、後期難波宮の区画施設（南北溝）を確認した。また、東に開く谷では前期難波宮の時期を含む6世紀末〜7世紀中葉の多量の遺物が出土した。特に、宮造成に伴う地層の下位から出土した豊富な器種の土師器・須恵器は、古墳時代後期〜飛鳥時代初頭の土器相を考える重要な資料で、新羅土器も出土した。また、鉄・ガラス・鹿角などの手工業生産に関わる遺物や、豊富な種類の魚骨・栽培植物種実資料など、宮以前の難波地域の生産・流通・消費活動の一端を報告した。

『難波宮址の研究』第十七

(A4/33/8)

900

310

　史跡難波宮跡公園に東接する法円坂住宅敷地内行った発掘調査の報告である。西から東へ続く谷上にあたり、豊臣期の三ノ丸造成に伴う大規模な整地層と遺物、徳川初期の柱穴・溝、それ以降の畠、土壙・溝多数、幕末〜近代の整地層を捉えた。中世以前ではボーリング調査を行い、放射性炭素年代測定による弥生時代後期から江戸時代初頭にわたる測定結果、およびそれぞれの時期の古植生について報告している。

『難波宮址の研究』第十八

(A4/220/34)

2600

着払

　難波宮東方地域の大阪府立青少年会館跡地で、マンション建設に伴って行われた発掘調査の報告である。調査地は上町台地東縁辺の西から東へ下がる斜面の上端に位置し、西から東へ延びる谷を検出した。北側の谷からは、朱鳥元（686）年に焼失した前期難波宮の宮殿壁土が集積して出土し、その下層からは前期難波宮期の土器・木製品とともに、難波宮以前の瓦が多数出土した。また、南側の谷からは、古墳時代中期の土器とともに土製ガラス玉鋳型が出土したほか、谷頭で中世の土壇をもつ瓦葺きの礎石建物を検出した。豊臣期には大規模な盛土造成により谷を埋立てていた。このほか、徳川初期の大規模な鍛冶工房を検出した。

『難波宮址の研究』第十九

(A4/167/43)

1300

360

　難波宮の西方に位置する国立病院大阪医療センター敷地内の南側で行われた発掘調査の報告である。調査では、西部で前期難波宮期の官衙と推定される掘立柱建物や塀を検出し、その東側では谷を検出した。谷からは古墳〜飛鳥時代の土器・木製品等の大量の遺物が出土し、７世紀中葉の厚い整地層が確認された。これらは前期難波宮の建設に伴う整地工事の痕跡と推定され、難波宮西方官衙（『難波宮址の研究第九・十一』）がここまで及んでいたと考えられる。谷内の上層では豊臣前期の礎石建物や木組みの溝などが検出され、土器・陶磁器・木製品などが多数出土した。徳川期には、絵図によると当地に奉行屋敷や代官所などが存在していたようで、それらと関連すると考えられる遺構・遺物が確認された。

『難波宮址の研究』第二十
　　　　　　　　　　　−朝集殿院東方の調査

（A4/60/19）

1000

310

　前期難波宮の朝集殿院東で行った発掘調査で、上町台地の東側斜面を下刻する谷頭を埋めた６・７世紀の遺物が大量に見つかった。７世紀中頃と見られる「□可母□」墨書須恵器甕片や「斯々一古」荷札木簡は、難波宮造営前後の資料として特に注目される。

『難波宮址の研究』第二十一
−大極殿院東方の調査−

(A4/69/19)

1700

360

　平成21〜25年度にかけて、後期難波宮の大極殿院東方で行った5件の発掘調査の報告である。
　当該地区は、難波宮第1〜4・7次調査など、ごく初期の調査が行われた場所で、後期難波宮に係る土壇やそれに伴う瓦集積などが発見されていたが、それらの遺構の評価については定まったものがなかった。今回の調査では低い土壇とその周辺の瓦集積を検出し、一部、初期の調査で発見した遺構を再発掘することによって、やはりこれらが瓦葺建物の基壇残欠であることを確認した。その上で、既往の調査成果と併せ考えて、後期難波宮でも新しい段階に、南北に並ぶ二つの区画があったことがわかった。
　　また、前期難波宮の遺構も発見され、東方官衙の西を画する一本柱塀を復元した。内裏東面大垣にごく近い箇所では掘立柱建物跡が検出され、内裏大垣の想定線上に柱穴は発見されなかった。
　　　その他、難波宮下層遺構では正南北に延びる溝、中世の畠、豊臣期〜徳川期の屋敷地跡などが発見された。

『難波宮址の研究』第二十二
−後期朝堂院西方の調査−

(A4/74/25)

1600

360

　今回の発掘は後期難波宮朝堂院の西で行われた。
　難波宮以前の遺構としては6 世紀〜 7 世紀前半の柱穴が検出された。
　　難波宮の遺構は、その配置状況から後期難波宮のものとみられる。一本柱塀2 条、掘立柱建物4 棟、不明遺構1 基を発見した。北側の一本柱塀はいわゆる五間門区画の南面区画施設である。南側の一本柱塀以南は曹司に相当する役所の建物であろう。不明遺構は7 世紀末〜 8 世紀初頭頃のものである。
　　　近世の遺構は豊臣期から徳川期にかけてのもので、それぞれ武家屋敷に関する遺構が数多く発見された。近代の遺構では旧陸軍歩兵第37連隊に関する防空壕などが発見された。

『難波宮址の研究』第二十三

(A4/71/20)

1400

360

　今回の調査では、上町谷の支谷、前期難波宮期の整地層と柱穴、後期難波宮期の石組暗渠と柱穴、中世の耕作地、豊臣期・徳川期の柱穴・井戸・溝・土壙などを発見した。上町谷の支谷d は幅が38mを超えることを確認した。前期難波宮造営に当ってはこの谷を埋めて平地化していた。埋立土の南端は斜面をなして終わっていた。宮城南門東の区画施設の連続は確認できなかった。後期難波宮期には宮内の排水路を整備し、調査地ではそれが石組暗渠となって谷に放流していることがわかった。谷は中世には耕作地化され、近世には屋敷地となったが、谷の中央部には継続して排水溝が設けられていることがわかった。

　古墳時代の建物群、前期難波宮の内裏西方官衙、後期難波宮期の溝と多量の瓦、豊臣期の三ノ丸地域の遺構や徳川期の大規模なゴミ穴など、大阪市中央体育館地域における発掘調査の中間報告である。

『難波宮跡・大坂城跡発掘調査中間報告』II

(B5/24)

400

215

　大阪市中央体育館地域における発掘調査中間報告の続編である。 古墳時代の大型建物群から江戸時代の城代家臣屋敷にいたる、最終調査までの全成果をダイジェストで収録する。

『難波宮跡研究調査年報1975〜1979.6』

(B5/132/72)

3000

360

昭和50年から54年までに行われた難波宮第71次から159次調査の概報である。

『難波1丁目所在遺跡B地点発掘調査報告』

(A4/40/10)

1100

310

　2010年に中央区難波3丁目の難波1丁目所在遺跡B地点で行った発掘調査の報告である。調査では、19世紀前葉〜幕末および近代初頭の難波新地に係わる遺構が検出された。調査地の北には、「溝の側(みぞのかわ)」の跡地があり、その南方は古地図などから幕末の開発と考えられてきたが、それより若干遡ることがわかった。

『難波御蔵跡・船出遺跡発掘調査報告』I

(A4/44/22)

1400

310

　難波御蔵跡・船出遺跡は上町台地の西縁に広がる難波砂州上にある。難波御蔵跡は享保17（1732）年に設けられた徳川幕府の米蔵に係る遺跡で、北方の道頓堀から運河（難波新川）が通じていた。船出遺跡は、明治11（1878）年、この地の南側を西流する鼬川と難波新川をつなぐ新たな運河開削の際に木造船が出土したことにちなむ遺跡である。調査地はこの二つの遺跡が重複する位置にある。
　当地では、古墳時代中期に大阪湾からの水流で運ばれた土砂によって陸化が進み集落が形成されたが、本調査の遺構は散在的で、集落の中心は調査地の西方かと推測される。出土遺物には韓式系土器が含まれており、渡来人の足跡を認めることができる。
　中世では土壙などが検出され、調査地の近隣に集落が存在したことを推測させる。
　近世では井戸や耕作溝などが見つかった。大型で板囲いのテラスを設ける立派な井戸や、多くはないが瓦も出土しており、これらは難波御蔵に関連すると考えられる。

　調査地は大阪湾からの波浪によって形成された浜堤上にある。堆積層から5 世紀の須恵器・韓式系土器が出土したことで、陸化したのは古墳時代中期頃とみられた。その後は居住可能な土地条件になったとみられ、鎌倉〜室町時代の土壙が発見された。18世紀後半頃の遺構が最も多いが、これについては1732（享保17）年に開かれた幕府の米蔵である「難波御蔵」との関係が窺えるものはなかった。

『西淡路1丁目所在遺跡発掘調査報告』
−大阪市都市整備局による日之出住宅建設にかかる発掘調査報告書−

(A4/62/10)

1000

310

　2009年に西淡路1丁目所在遺跡で行われた発掘調査の報告である。調査では、中世後期〜近代までの作土層を検出したほか、護岸を施された徳川期の溜池などを検出した。溜池は当初は河川の一部であったと考えられ、池の下部からは金箔押し瓦など豊臣期の遺物が出土した。

『西淡路1丁目所在遺跡発掘調査報告』II　
−大阪市都市整備局による日之出住宅建設工事(第2期)にかかる発掘調査報告書−

(A4/41/16)

1200

310

　2010年度に東淀川区西淡路1丁目所在遺跡で行われた発掘調査の報告である。調査では、平安時代の土壙や、完形の黒色土器椀を含む一括資料が出土した。また、14世紀までの遺物を含む自然流路も検出し、その流路の岸から多量の動物遺存体が出土した。皮革や肉の利用などに伴う残がいの投棄と考えられる。このほか、14世紀から近現代に至るまで営まれた作土層が確認でき、当地が中世における開発当初から、条里地割にそって耕地の形成がなされ、踏襲されたことがわかった。

　2012年度に行った西淡路1丁目所在遺跡の発掘調査の報告である。中世の井戸・土壙、江戸時代の溝が発見された。

『西宮原遺跡発掘調査報告』　
−大阪市都市整備局による新三国住宅建設工事にかかる発掘調査報告書−

(A4/20/8)

800

215

　2009年度に行われた淀川区西宮原3丁目で行われた発掘調査の報告である。江戸時代から現代まで継続して耕作された水田や水路の跡が発見された。また、淀川デルタの河川堆積層を検出し、調査地で陸化の時期を推定することができた。

　2011年に浪速区日本橋東2丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、縄文海退時に堆積した地層が広範囲に分布し、土石流によって生成したと考えられ、その後、大阪湾側の沿岸洲の高まりと上町台地の間に挟まれた湿地帯を、中世から江戸時代にかけて田畠として利用していたようすがわかった。江戸時代には、一部居住地として利用されていたこともわかった。

『野崎町所在遺跡発掘調査報告』

(A4/148/38)

1700

360

　野崎町所在遺跡は、大阪の天満砂堆（天満砂州、長柄砂州とも呼ばれる）に立地する遺跡である。調査の結果、当該地が微高地と低地に跨ることが明らかになり、低地側に弥生時代後期の貯木池を検出し、弥生土器とともに多量の木質遺物を発見した。製品はごく少数であったが、当該期の木器生産の一翼を担っていた遺構である。また、転用杭のひとつは、槽や準構造船の舳先の可能性がある。
　近世は主として畠地利用され、耕起と客土が繰り返し行われた。その過程で粘土や畠土の採掘も行われた。また、一隅に掘られた大型の廃棄土壙から出土した膨大な量の日用品は、18世紀初頭までの一括性の高い遺物群であり、1707年の宝永地震の被災により廃棄された可能性が高い。
　1838年には当該地の東にある天満堀川の延伸普請が行われ、その排出残土が当該地の畠区割りに合わせて客土され、嵩上げ造成された。嵩上げされなかった区画には、大規模な水溜め施設も作られた。
　さらに、基盤層の観察から、天満砂堆の陸化過程の一端も明らかとなった。

　2011〜2012年に東淀川区東中島1丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、室町時代の水田や畦畔、池とみられる落込みを検出し、豊臣後期と江戸時代の水田と畦畔を検出した。確認された遺構の方向性は、本調査地の西方、現在の淀川区宮原、三国、木川付近といった広い範囲において存在が指摘されている条里地割の方位に概ね一致しており、当地が中世における開発当初から、条里地割に則って耕地開発が行われたと考えられる。

『東三国２丁目所在遺跡発掘調査報告』

(A4/12/3)

500

215

　2011年に淀川区東三国2丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、中世の流路、作土層を検出した。当地は淀川のデルタ地帯にあたるが、その陸化および耕作地としての土地利用開始は中世であることがわかった。ほかに、中世の地震の痕跡を確認した。

『平野環濠都市遺跡発掘調査報告』

(A4/16/6)

700

215

　平野環濠都市遺跡の東端で行った発掘調査の報告である。旧地割に関わる大規模な中世の南北溝や、環濠と考えられる中世末の南北溝を検出した。平野環濠都市の成立に関わる、環濠の掘削時期や埋没の変遷に関する情報を得られ、これまで調査があまり及んでいなかった東端地域の中世から江戸時代の状況が明らかになった。

『平野馬場遺跡発掘調査報告』

(A4/87/42)

1700

360

　2009・2010年度に平野馬場遺跡で行われた発掘調査の報告である。弥生時代終末(庄内期)〜古墳時代初頭(布留前期)の集落が見つかった。大溝・竪穴建物・掘立柱建物などを検出し、吉備・山陰・讃岐・阿波・近江・東海などの外来系土器、斧柄、箱などの木製品を含む多くの遺物が出土した。中世では耕作に伴う溝、江戸時代では島畠を検出した。

『広島藩大坂蔵屋敷跡　−大阪市北区中之島4丁目における発掘調査−』

(B5/24)

500

215

　中之島周辺に建ち並ぶ諸藩蔵屋敷のうちの一つ、広島藩大坂蔵屋敷跡の発掘調査の概要である。 広島米を満載した船入の姿が明らかになった新出の蔵屋敷絵図も掲載する。

　北区中之島における1995〜2001年の発掘調査で、膨大な遺構･ 遺物が検出された広島藩大坂蔵屋敷跡についての報告である。本書では調査地南半における成果を収録する。良好な状態で検出された蔵屋敷の中心的建物「御殿」や蔵、 その周囲に位置する長屋建物や屋敷の排水を担った大規模な石組暗渠など、多数の遺構、良好な近世陶磁器･土器資料を報告する。

『広島藩大坂蔵屋敷跡』II　
−大阪市教育委員会による大阪市立美術館(仮称)建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/280/55)

4200

着払

　広島藩大坂蔵屋敷跡の調査報告書の第2冊目で、調査地北半における成果を収録する。｢船入｣遺構や蔵・長屋建物などの徳川期末の多数の遺構、 出土した近世陶磁器・土製玩具・瓦・木簡、17世紀代の鋳造関係遺物などを報告する。 加えて、絵図を援用しての考古学からみた蔵屋敷の動向、石材鑑定などの考察を収録する。

『広島藩大坂蔵屋敷跡』III

(A4/76/25)

1800

360

　調査では17世紀前半から19世紀中葉までの5時期にわたる遺構・遺物を検出し、蔵屋敷の成立期から幕末までの遺構の変遷を把握することができた。注目される遺構としては、17世紀中葉に掘削された可能性のある堀割状遺構と、これに伴う大規模な盛土遺構がある。堀割状遺構の東では、後世の蔵屋敷「御殿」に先行するとみられる、17世紀末〜18世紀前半の礎石建物を確認した。 　特筆される遺物としては、19世紀代の廃棄土壙から、「若森」・「作製」等の刻印を施した愛媛県産の菊間瓦、愛媛県産の砥部焼、鉄製の茶釜や土瓶を模した瓦質土器である広島県産の原村焼、徳島県産の大谷焼、瀬戸内系の焙烙などが出土した。これらの遺物は、広島藩が恵まれた海運を利用して、瀬戸内海沿岸各地より、産物を大坂蔵屋敷まで運搬して使用したことを示す貴重な資料といえる。また、近代前半に存在した府立大阪医学校の遺構からは、山口県山陽小野田産の硫酸瓶が出土した。

『福島蔵屋敷跡発掘調査報告』

(A4/68/16)

1400

360

　2010年から2011年に福島区福島2丁目福島蔵屋敷跡で行われた発掘調査の報告である。調査では、17世紀後葉から幕末までの2つの敷地を確認し、土蔵・礎石建物・石垣・区画溝・石列・土壙・埋甕・暗渠・水琴窟・溝・耕作溝などの遺構を検出した。河村瑞賢による17世紀後葉の堂島川改修による土地開発時点からの調査地の変遷が明らかとなった。現存する絵図や文献記録によれば、両敷地に臼杵藩・人吉藩が継続して蔵屋敷を構えていた可能性が高い。出土遺物には元禄期の陶磁器の優品や当時は貴重であったガラス容器などが見られた。

『三島遺跡発掘調査報告』

(A4/12/1)

500

215

　2011年に浪速区塩草1丁目の三島遺跡で行われた発掘調査の報告である。江戸時代の作土層や、一部で湿地性堆積層を検出した。また、江戸時代から現代に至る各時期の地形の変化を確認することができた。また、東に接する木津村・難波村との関係や、大坂三郷の近郊地として開発が進んだ一帯の歴史的な経緯を解明する資料となる17〜18世紀の土器・陶磁器が出土した。

『南住吉遺跡発掘調査報告』
　　　　　　　−付 矢田部遺跡・帝塚山古墳−

(B5/113/29)

1300

360

　住吉区に所在する南住吉遺跡の初の発掘調査報告書である。 16棟以上の掘立柱建物を含む飛鳥時代の居館跡、 奈良時代の銅製バックルなどを報告する。 また、新発見の弥生時代集落跡の報告も収録する。

『南住吉遺跡発掘調査報告』II　−市営南住吉住宅建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/28/3)

600

310

　1999年度に行われた市営住宅建設工事に伴う発掘調査の報告である。 本書では、これまでの調査成果に地質学的な検討を加え、 遺跡の基本層序を組立てた。 さらに、大阪市南部地域である住吉区から平野区にかけての各遺跡層序の対応関係を考察した。

『南住吉遺跡発掘調査報告』III　−大阪府住宅供給公社による建設工事に伴う発掘調査報告書−

(A4/61/15)

1000

310

　2003年に住吉区殿辻1丁目で行った住宅建設工事に伴う発掘調査の報告である。旧石器時代から江戸時代にいたる遺構・遺物を報告する。その中で、飛鳥〜奈良時代の掘立柱建物群と、細江川の支流を検出した。『日本書紀』に記された｢住吉津｣との関係を考察するうえで貴重な手掛かりとなった。

『南住吉遺跡発掘調査報告』IV

(A4/14/3)

2012

215

　2011年に旧大阪市あびこ職員会館敷地内で行われた発掘調査の報告である。6〜7世紀の須恵器片や中世の土師器片が出土した。

『宮原遺跡発掘調査報告』

(A4/51/25)

1100

310

　2009年に淀川区に所在する宮原遺跡で行った発掘調査の報告である。調査地は淀川デルタといわれる淀川河口部に発達した三角州上に位置するため、淀川の流れに大きく影響されてきた地帯である。調査では、弥生時代中期から古墳時代中期頃までは、河川と湿地の環境が繰り返す氾濫原にあったことが堆積層の観察からわかった。また、その時代の遺物が出土したことから、集落が調査地近辺に存在したことは明らかである。鎌倉時代から江戸時代までは耕作地としての開発が進められたものと推定される。

『森小路遺跡発掘調査報告』Ｉ

(A4/221/40)

2600

着払

　森小路遺跡で行われた1980年から1994年の発掘調査の報告である。 弥生時代中期の掘立柱建物･土壙･溝などの遺構や、多量の土器･石器･木製品･動物遺体などが出土した。このほか、古墳時代から平安時代の遺構･遺物を掲載する。

『森小路遺跡発掘調査報告』II

(A4/34/6)

800

310

　縄文時代中期に遡る地層を確認した。珪藻・花粉・種実などの分析の結果、次第に汽水から淡水の影響を強く受ける地域へと変遷していった過程を知ることができた。弥生時代〜古代にかけての当地の遺構は乏しかったが、中世以前から江戸時代に及ぶ作土層を確認した。

『森小路遺跡発掘調査報告』III

(A4/30/16)

1100

310

　弥生時代中期前葉の流路および弥生時代中期後葉の墓の可能性が高い土壙を検出した。また、弥生時代中期前葉の木製品や流木を採集し、樹種を調べ、森小路遺跡の植生の一端を明らかにするとともに、弥生時代中期の木製品に使われた樹種を再認識した。さらに、飛鳥〜平安時代の土器が少量出土した。興味深いものとして、須恵器の当具とみられる土製品が出土した。

『森の宮遺跡』II　−中央労働総合庁舎新営工事に伴う発掘調査報告書−

(B5/238/85)

3000

着払

　森の宮遺跡北東部における発掘調査の報告である。 縄文時代〜近世の遺構・遺物を収録する。河内湾〜河内潟に相当する地層からは縄文中期〜晩期の土器とともに 漆塗り竪櫛や縄を巻き付けた大型石錘など珍しい遺物が出土した。 飛鳥時代の溝からは土器や斎串などの木製品のほか動物遺体も多く見つかり、 西に位置する難波宮との関連が注目される。

　調査地は上町台地東縁の裾部に位置し、弥生〜江戸時代の各時期の遺構・遺物を検出した。16世紀の作土層と自然流路、豊臣前期の礎石列・土壙・溝などで、豊臣前期の土壙からは、金箔押し軒丸瓦や陶磁器、多数の木製品が出土した。また、土壌中からは多様な食用植物の種実や綿花の種などが見つかり、特に綿花は、16世紀の木綿生産との関係で重要である。

『矢田遺跡Ｂ地点発掘調査報告』

(A4/20/6)

600

215

　2011年に東住吉区公園南矢田4丁目の矢田遺跡Ｂ地点で行われた発掘調査の報告である。古代末から中世にかけての溝・土壙・井戸を検出し、当地では12世紀代から人の活動の痕跡が見られ、13世紀後半〜14世紀代に耕地化されたことがわかった。また、遊離資料ではあるが、古墳時代末から古代にかけての須恵器が出土した。

　2013年に東住吉区矢田6丁目の矢田遺跡Ｃ地点で行われた発掘調査の報告である。調査では、平安時代以降に耕作地となり、室町時代まで継続して利用されたことと、幾度もの河川の氾濫で耕作地が被害を受けたようすが明らかになった。また、溝からまとまって瓦類が出土し、15世紀頃に寺院などの瓦葺建物が存在したことが推測された。さらに、6世紀後半〜8世紀前半の土器が出土し、付近に古墳〜奈良時代の集落が存在したことが想定された。

　2012年に東住吉区矢田5丁目の矢田遺跡Ｄ地点で行われた発掘調査の報告である。調査では、奈良時代後半〜平安時代初頭頃の柱穴と多数の遺物が出土した。当地では平安〜鎌倉時代初頭以降に耕作地となり、近代まで継続して利用されていた。

『矢田部遺跡Ｂ地点発掘調査報告』

(A4/23/7)

900

310

　2010年に東住吉区矢田1丁目で行われた発掘調査の報告である。調査では、古墳時代中期以降の遺構・遺物を検出し、当地が耕作地として継続的に利用されたことがわかった。

『大和川今池遺跡発掘調査報告』

(A4/14/6)

700

215

　2009年度に大和川今池遺跡の北端部で行われた発掘調査の報告である。15世紀代の坪境溝と豊臣期に機能を失ったと思われる井戸を検出した。また、井戸の出土遺物に古代から中世にかけての瓦が多数あることから、付近に瓦葺建物があったことが判明した。

　1980〜1994年の山之内遺跡での発掘調査の報告である。弥生時代の竪穴住居や方形周溝墓、古墳〜奈良時代の竪穴住居や掘立柱建物をはじめ、 各時代の遺構・遺物を報告する。 また、中期旧石器時代のナウマンゾウなどの大型動物の足跡化石や、 高位〜低位段丘構成層に関する火山灰・花粉・珪藻などの分析結果を収録する。

『山之内遺跡発掘調査報告』II 付 遠里小野遺跡　−市営住宅建設工事に伴う発掘調査報告書その2−

(A4/146/35)

1200

360

　1988年に実施した山之内遺跡の発掘調査の報告である。弥生時代前・中期の竪穴住居や中期の方形周溝墓、 古墳時代後期の竪穴住居、飛鳥〜奈良時代の掘立柱建物群について報告する。 付篇では、隣接する遠里小野遺跡について報告する。 飛鳥〜奈良時代の掘立柱建物群や井戸のほか、土錘・飯蛸壷といった大量の漁具が出土した。 また、港湾に係わる特殊な施設と考えられる飛鳥時代の大型掘立柱建物は注目される。

『山之内遺跡発掘調査報告』III　
−大阪市都市整備局による浅香第1住宅建替工事にかかる発掘調査報告書−

(A4/29/11)

900

360

　2009年に住吉区浅香2丁目で行われた発掘調査の報告である。弥生時代中期から現代までの遺構・遺物を掲載する。なかでも、中世から江戸時代にかけての鋳物師関連の遺物をはじめ、江戸時代の終わりから現代にかけての耕作地の移り変わりについての成果を中心に報告した。　また、弥生時代中期のサヌカイト製の石器は、調査地周辺に集落が存在する可能性が高いことを示唆する遺物として注目される。さらに、「堺下源」刻印瓦は、19世紀頃の堺のブランド瓦の生産と流通を究明する上で重要な資料である。

『山之内遺跡発掘調査報告』IV　
−住吉区山之内四丁目における発掘調査報告書−

(A4/18/4)

700

215

　2009年に住吉区山之内4丁目で行われた発掘調査の報告である。調査地は、字「奴野田」に当り、『延喜式』神名帳の「努能太比売(ぬのたひめ)命神社」の遺称地と考えられる。古代から江戸時代までの遺構・遺物を掲載するが、なかでも、中世から江戸時代にかけての井戸や水田畦畔を中心に報告した。また、山之内遺跡は漁撈集落として有名であることから、当遺跡のイイダコ壺を集成して、若干の考察を行った。

　2010年度に大阪市立大学構内で実施した発掘調査の報告である。調査では、中世後半の大溝や井戸のほか、中世後半?江戸時代の鋤溝・畠を検出した。また、中世後半の遺構や地層から、炉片などの金属加工に関連する多くの遺物が出土したことから、当該期に河内(我孫子)鋳物師に係わる人々の居住域が近くにあった可能性が高い。さらに、出土遺物のなかには弥生時代や古墳時代のものが含まれており、調査地近辺にそれらの時代の遺跡があったと考えられる。

　2011年度に大阪市立大学構内で実施した発掘調査の報告である。調査では、中世の集落域を画する施設の可能性が考えられる大きい溝や、金属加工を示す遺構・遺物が見つかった。文献によると、中世には河内(我孫子)鋳物師に係わる人々の居住域がこのあたりにあったといわれる。また、出土遺物のなかには古墳時代のものが含まれており、調査地近辺にその時代の遺跡があったと考えられる。

　2011〜2012年に住吉区浅香2丁目で行われた発掘調査の報告である。弥生時代中期から現代までの遺構・遺物を掲載するが、なかでも室町〜江戸時代にかけての鋳物師関連の遺物をはじめ、江戸時代〜現代にかけての耕作地の移り変わりについての成果を中心に報告した。　また、弥生時代中期のサヌカイトの剥片も出土した。

　本書は、2019年度に大阪市立大学構内において実施した山之内遺跡発掘調査の成果を報告するものである。時期幅のある遺構・遺物を掲載しているが、特に近世後半以降における溜池を伴った耕作地の様相を中心に報告する。
　今回の調査地は、明治期の地形図によると、字「新池」および「仏生田」に該当する。「新池」である西区では溜池を検出し、さらに溜池との関連が推測される土手状の盛土を確認した。「仏生田」である東区では、鋤溝をはじめとする耕作に伴う溝を検出した。
　遺物は近世〜近代の陶磁器に加え、弥生時代以前のサヌカイト剥片、古墳時代の須恵器、中世の土器・陶磁器、鋳造関連の遺物なども出土している。

　山之内遺跡は旧石器時代から近世にいたる複合遺跡である。過去に発見された主な遺構、遺物は�@旧石器時代、�A弥生時代、�B古墳時代、�C飛鳥・奈良時代、�D鎌倉・室町時代のものである。今回、大阪公立大学構内の調査で得られた大きな成果は、旧石器時代〜縄文時代前期の石器と剥片、近現代のコンクリート建物跡である。後者は戦後まもなく発足したばかりの新制大阪市立大学に駐留していた米軍の映画館跡と判明し、話題を呼んだ。

『横堤遺跡発掘調査報告』

(A4/74/21)

2000

310

　横堤遺跡は河内沖積低地の中にあって、弥生時代〜古代は河内湖の北岸に立地した遺跡である。調査では、縄文時代中期には河内潟の干潟で、縄文時代後期中頃に起こった淀川の氾濫による堆積で大阪湾とはほぼ隔離された湖沼となった後、弥生時代中期以降に人間が活動を始めている。中世〜江戸時代を経て近代には蓮田がひろがっていたと考えられる。近代までに、本遺跡の湖沼は水位の下降と上昇をくりかえし、湖水位の低下時に人間活動が盛んになり、上昇期には湿田として利用されていたと考えられる。